運命の輪

□第1章
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青薔薇の涙(ロサ・デラム)。





それが今回、あの忌々しい大犯罪者が狙うお宝の名前らしい。



彼はビッグジュエルと呼ばれる宝石を狙い予告状を出すが、実際目当てのものでは無いと直ぐに突き返してしまう謎めいた行動もする。




日本の警察をも手玉に取る彼は、もはや一流の大犯罪者。






(私の両親を殺すのも造作もないくらいにね……………)







私は黒羽快斗に連れられて、鈴木財閥の所有する高層ビルに立ち入った。




「あ、快斗!遅いじゃないの!!」



「わりーわり!コイツ引っ張ってくるのに時間がかかっちまって……」




「コイツって……山田さん!?」




中森青子は、私の顔を見て近づく。


こんな純粋であどけない子が傍にいれば、そりゃいくら歳を重ねたってただの幼なじみではなくなるはず。




「ごめんなさい、中森さん。邪魔ならすぐに帰るわ。」




「ううん!むしろ来てくれてありがとう!!あんま面白くないと思うけど、山田さんなら怪盗キッドを捕まえる役に立てるかもしれないし!!」





中森青子はそう言って私にほほ笑みかける。


確かに、私がいれば彼をつかまえる役に立てるかもしれない。




(ただ、警察が捕まえる前に私が………)




「ね、山田さんって巫女さんなんでしょ?なんか怪盗キッドを捕まえる術的なのないの?」



「巫女は魔法使いではないから、そんな都合のいいものはないわ。ただ、人も少し違う能力を持ってるだけよ…」



「例えばどんなの?」



中森青子は私の隣を歩きながら私の顔を覗いてくる。


私は一呼吸置いて口をゆっくり動かした。




「……説明が難しいわ。簡単に言えば人の放つオーラが見えたり、幽霊が見えたりするわ。」



「えぇっ!!すごい!じゃあ怪盗キッドのオーラが分かれば、誰が怪盗キッドに変装してるか分かるってこと!?」




「まぁ、そんなところかしら………」




私達は、そのオーラのことを霊力とよぶ。


人の持つ霊力とは独特で、まるでその人の性格を表しているかのように、色を識別するような感覚で見る。




その霊力が物凄いあると、私のように他人の霊力を見ることが出来たりする。


これを霊感と人は呼ぶ。



イタコや霊能力者によくある事だ。




「ねぇねぇ!青子のオーラはどんな感じに見える?」




「……中森さんのオーラは…すごく優しくて、純粋なオーラをまとっているわ…」




「わぁすごいすごい!!」



「けっ、ただのハッタリかもしれねーじゃねーか」




「何よ!快斗のオーラなんてどーせそんないいオーラじゃないわよ!ね、山田さん!」




私は黒羽快斗の霊力をまじまじと見つめる。



(好奇心旺盛な霊力…しかし何か後ろの方に違う霊力が見え隠れしてる……何か人には言えない秘密を隠し持ってる………まさか………………)





「山田さん?」





「……あ、ごめんなさい。ちょっとお手洗いに行ってくるわ。」




私はそう言って宝石のある部屋から出ていく。




(黒羽快斗のあの霊力……私が今まで見てきた霊力とは全く異なるものだわ。何か気になる………)




「よ、山田!女子トイレはあっちだぜ?」




後ろから肩を掴まれ咄嗟に振り払うと、黒羽快斗が驚いたように一歩引いた。




「おいおい、そんな邪険にしなくてもいいだろ?」




「なんか用?」




「体調悪いなら家帰ったらどーだ?もうすぐキッドの予告時間だし。」




「帰らないわ。私はアイツを……」




そう言いかけて私は口を止めた。





「とにかく、変に動かないでよね。」




私はそう言って女子トイレに入った。


少し顔でも洗って目を覚まそうとした次の瞬間だった。








ボンッ!!!!!!!!








突如視界がボヤけ、やがて意識が朦朧としてきた。


何かモヤみたいな、煙のようなものが微かに見えた。




(催眠ガス……?まさか……!)







「おやすみ〜♡」
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