novel3

□堕ちていく・・・
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 ……どうしてこんなことになってしまったんだろう。

 銀の手錠が頭上でうるさく音を立てる。

 両手を挙げられた状態で、手錠の片方はもちろん手首に、もう片方はベッドの頭のほうに、そして両手ともがそうだった。

 バンザイするような格好でベッドに仰向けに寝かされていた。

 それまでは違う理由でガチャガチャと鎖を鳴らしていた。

 少し余裕を持って止められたそれに無駄なことだと知りつつも引っ張って、木製のベッドの太い柱が折れやしないかと。

 だが、今は……。

 大きな手のひらが胸を這う。

 壊れ物を扱うような手つきが余計に堪らない。

 体中を確かめるみたいにまさぐられて、その手は胸の頂きにたどりつき、胸の淡い色の粒を急に親指で強く押しつぶすようにされる。

「あっ……」

 微かに上がった声に自分で驚いて、慌ててキュッと唇を噛む。

 相手がひっそりと笑った。

「済まねぇ。痛かったか?」

 やさしげに訊ねられて相手をギロリとにらむ。

 今度は手は落ち着かせるように胸を撫でていた。

 だが、すぐにまた、中心の薄赤い粒を指でいじり始める。

 押しつぶし、すくあげるように突かれ、立ち上がったそこをもてあそばれ。

 妙な感覚に、また自然と唇が開き、声が漏れそうになる。

 その唇を大きな唇でふさがれた。

 少しかわいたさらりとした唇が、最初はただ重ねられ、それからだんだんと深くなっていく。

 その間も手の動きは止まらない。

「ああっ……」

 唇が離れた瞬間に思わず上がった悲鳴のような切ない声は、下を触られたからだ。

 片手で胸の粒をもてあそび、もう片方の手で脇腹を撫でたりして快感をあおっていた手が、ズボン越しにだが自分のものをきつく揉むようにしてくる。

 なんの躊躇いもなく触れて、まるで己のものだというように、大胆に指を動かしてくる。

 顔を近付けて反応を見ている相手に、ギリ、と唇を噛み締めて、潤んだ瞳でキッとにらみつける。

 だが、それは最早拒絶というよりも、本人の意志と無関係に、欲望の熱を持っていて、もっと触れてほしいという懇願に近かった。

 その目にそそられたように男がまたしても唇を寄せてくる。

 噛み付くようなキスをされた。

 と、同時に、ズボンの前を開いてするりと入りこんだ手に自身を握られてビクリと体がはねる。

 頭上でうるさく鎖がガチャと音を立てた。

 どれだけ暴れても逃げられない。

 それはもう嫌というほどわかった。

 どんな抵抗も無駄だ。



 ……だが、ああ、なんで自分はこんな目に遭っているのだろう?





(つづく)
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