BL-novel

□反則技
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・・・なんつーか、今日は、
なんか、アレだ。


「どーしたー?日向ー」
「うっせぇ何でもねぇよダアホ」
「心配してるのにそりゃあねぇだろー」

今俺がいるのは木吉の家。
カントクが用事があるとかで、
今日の部活は無しになった。
休日に部活が無くなるのは珍しい、
と思っていると木吉から電話が
掛かってきて、なんやかんやで
今に至る。

木吉が何で俺を心配しているかと
いうと、俺が心底機嫌の悪そうな顔を
してるからだと思う。
っていうかそれしかねぇ。

でも、自分でもあんまり経験しない
感情に、今パニック起こしてるんだから
普通になんてしてられねぇだろ。


「あ、じゃあゲームするか?」
と言って木吉が差し出したゲームは、
「ぷよぷよ!?普通格ゲーとか
だろ!!」
何故かぷよぷよを見せながら、
目をキラキラとさせている木吉に
つっこむ。
「何言ってるんだよ、日向」
「あ・・・?」
突然真顔になった木吉に、自然と
俺も次の言葉を待つ。

「お邪魔ぷよ溜めないように
するのはなかなかスリリングだぞ!」
「何言ってんだよおめぇは!
真面目に聞こうとした俺が
バカだったよ!!」
そもそも木吉が真面目な顔を
するときはろくなことを言わない。
不覚だったと溜息をつく。


「・・・なぁ、日向、
疲れてんのか?」
「は?何だよ急に・・・」
また真面目な顔をして、今度は
俺の体調を気遣う木吉。
そんな姿に、忘れかけていた
感情がまた顔を出す。

「だってさ、いつもより辛そうに
見えるぞ・・・?」
「わっ、ちょ、何す・・・!」
木吉は俺の前に座りなおしたかと
思えば、突然俺の額に手を乗せた。

「んー、熱はないみたいだな・・・」
真剣な木吉が、目の前でそんなことを
呟く。
それに耐えきれなかった俺は
木吉の手を振り払い、
「何でもねぇ!」と言って背を向けた。

「ほんとか?ちゃんと言って
くれないとわからんぞ?」
俺が何でもないわけがないことは、
木吉には既にバレているのか、
俺の言葉を素直には信じて
くれないみたいだ。
それでもこの気持ちを素直に
言うことだけは絶対に嫌で
黙り込んでいると、

「あ、そうか」
「ん?・・・ん!?」
木吉は何かを思いついたように
声をあげると、後ろから俺を
ギュッと抱きしめた。

「は、ちょ、木吉!?」
「久しぶりに二人きりになったから
緊張してるんだな?」
「は?何言ってんだよ!」
「あれ?・・・違うのか?」
俺が木吉の言葉につっこむと、
俺の背後で少し寂しそうな声が
聞こえる。
・・・俺がその声に弱いこと
知ってるくせに。
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