BL-novel

□反則技
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木吉がそんな声で言うから、
絶対に言いたくないと思っていたのに
勝手に言葉が口をつく。

「・・・ない」
「ん?」
耳元で聞こえる心地いい低音に、
なんかドキドキし始めてる。
自分でも気持ち悪いと思うけど、
止められないんだから仕方ない。

「・・・ちがわ、ない」
「・・・え?」
普段、スキンシップをしたり、
好きだのなんだのを言うのは
木吉の役割だから、俺が
こんなことを言うのに
戸惑ってるんだろう。


「何か、今日は、何かずっとアレだった」
「あれ?・・・って何だ?」
この天然大男は、こんな遠まわしの
表現では絶対に伝わらない。
それは分かってるのに、やっぱり言えない。
こんなことをサラッと言える
木吉はやっぱり頭がおかしいに
違いない。

黙り込む俺を不思議に思ったらしい
木吉は、「日向、あれって何だ?」
とウザいくらいに聞いてくる。
そのしつこさに耐えられずに、
思わず「だから!」と振り切るように
言い放つ。


「お、おう」
「い、今みたいなこと、してほしいって
今日は、ず、ずっと、
思ってたっつーか・・・」
「ひゅ、日向・・・?」
言ってしまった、と激しく後悔すると
同時に恥ずかしさでおかしくなって
しまいそうだ。
木吉は後ろにいるから表情は分からない
けど、確実に驚いていることだけは
分かった。

「あー!やっぱお前の言う通り
疲れてるのかもしんねぇな!」
恥ずかしすぎて声が裏返りそうに
なりながら、何とか木吉から
逃げようと体を動かすと、
木吉は突然抱きしめていた力を強めた。

「木吉!?」
「ひゅうがー、何でそんなこと
言うんだよ・・・」
俺の背中に顔を押し付けていて、
声がくぐもってるけど一応は
聞こえる。

でも声音が分かりにくくなった
おかげで、もしかして引かせたか?と
若干不安になって黙っていると、
「今の日向、反則的に
可愛かったぞ・・・!」
「なっ!?お前何言ってんだ
頭おかしくなったんじゃねぇか?
・・・ん、」
木吉は引くどころか、今の発言が
気に入ったらしい。
そんな言葉に驚き振り返ると、
触れるだけのキスをされた。




「な、もう一回言ってくれよ」
「断る!!!」
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