The Prince Of Tennis.

□屋上の詐欺師。
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毎日毎日する、仁王くん探し。
殆ど屋上にいる彼を目覚めさせることから学生生活が始まる。




『仁王くん』




屋上で寝転ぶ相手に上の方から声をかける。




『ピヨッ』




瞑っていた瞼を開けてこちらを見ると、ふと微笑む。




『サボるのも大概にしないといけませんよ』
『おー、分かってるぜよ』




ちゃんと聞いているのか分からないような答えを仁王くんが返す。
そもそも、クラスが違うのにも関わらず何故私が仁王くんのサボりを止めなければならないのか。




『じゃあ、私はお先に行きますね。では、アデュー』




やってきた道の方へと踵を返し、一歩足を進めようと踏み出す。




『柳生』




ふいに呼ばれた声に振り返る。




『はい?』
『しょうがないから授業に行くぜよ』



言葉通り、本当にしょうがなさそうな表情で手を伸ばしてくる。




『授業に出るか出ないかは、仁王くん次第ですよ』




しょうがないとため息付いて、近付くと仁王くんが意地悪そうな表情で笑った。




『どうかしましたか?』
『お前さん、本当に面倒見がいいやつじゃのう』
『仁王くんが面倒事を運んでくるからでしょう』




手を握り返して、引っ張る反動で仁王くんが起き上がる。




『プリッ』
『さて、行きますか。仁王くん』
『起こしてくれてありがとな、柳生』




言いながら右手で私の頭を撫でる。
仁王くんに撫でられるのは、私に不思議な気持ちを覚えさせる。




『いいえ、気にしなくて結構ですよ。』




まるでもう少し触って欲しいような。
心が疼くのを感じてしまう。








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