The Prince Of Tennis.

□けしからん!こと。
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中学一年生のオレ。
中学三年生のアンタ。
まだまだ、幼い恋愛なんだ…と思う。









『お待たせ』
『おはよう、越前』
『はよっス。んじゃ、映画行きましょ』
『あぁ、そうだな』










ピンッと伸びた綺麗な背筋。
風に揺らめく艶やかな黒髪。
スッと通った鼻筋に、キリリと凛々しい綺麗で嘘偽りの無い瞳。









『はい』
『むっ?なんだ、その手は』
『何って…繋ぐでしょ?手』
『てっ、手を…繋ぐだと…!?』








オレが左手を相手に差し出すと、一気に眉間の真ん中へと皺が寄った。
『けしからん!』と一言怒鳴るとズカズカと一人で歩き始めてしまう。
『ちぇっ』と呟いて、渋々両手をポケットにしまい込んで後を追った。








別に中学生なんだから相手が言うほど『けしからん』事では無いと認識している。
好きな人と手を繋ぎたいとか、キスしたいとか、そう思うことはいけないことなんだろうか…と溜め息交じりに思う。









『おい、何を見たいんだ?』
『え?あぁ、えーっと…これ』
『〈エクリプス〉で良いんだな』
『ウィッス』










チケット売り場の列の最後尾に並ぶ。
チラリと相手の顔を盗み見ようと視線を向けると、バチリと視線がぶつかり合う。
『な、何?』と問うと『うむ。寝癖くらいちゃんと直したらどうだ?』と真剣な面持ちで言われた。









(真田さんが朝早すぎるから合わせるの大変なんだって…)










東京と横浜には少しだけ距離があり。
お互いに部活に専念しているので、会えても月に1〜2回なのだ。
そして、恋の相手があのお堅い真田弦一郎であるから《遅くなるのは次の日に響く。なので、朝早くから会うことにしよう》と来るわけだ。
朝が弱いオレには、この年上の考えが結構厳しいものであったりする。
この日は、真田さんが《青春台まで行く。家で準備を怠らず待っていろ》と言うから俺の家集合という待遇だったのにも関わらず。予定の時間には起きれなかった。








(夜中までゲームしてたしね)







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