小説(弾丸)
□あんぶれら
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今日は雨。
昨日も雨。
一昨日も、その前も雨。
世の中は梅雨真っ盛り。
この時期は空気がジメジメして、髪の毛も落ち着かないし、洗濯物も乾かないし、散歩にも出られないし。あんまり好きじゃないな。
それなのに、日向クンは何を考えてるんだろう。
「ちょっと外に出てみないか」
もちろんボクは断った。
こんな雨降りに外出なんかまっぴらごめんだよって。
なのに彼は強引にボクを外に連れ出したんだ。
2つあったはずの傘は、この前コンビニで無くしちゃって一本しかないので、男2人の相合い傘。道行く人の視線がちょっと冷たい。
雨は次から次から、絶え間なくボクらの上に降り注いでくる。
もう止むことなんてないんじゃないかと心配になる程に。
このまま降り続けたら、街中水浸しになって、海底都市が出来上がっちゃうのかな。
なんて、子どもの夢みたいな妄想をしながら歩き続けた。
そうしないと、この雨に溺れてしまいそうな気がしたから。