小説(弾丸)
□please forget me...
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絶望の残党を葬り去ることができる喜びよりも
「やっとこのつまらない人生を終わらせることができる」
という安心感、脱力感の方が強かったのかもしれない。
大きな絶望に怯え、
希望を必死に求めて、
その希望の象徴である
"彼ら"に絶望して…
本当に散々な人生だったな。
…でも
"彼"だけは、違っていた。
"彼"は希望の象徴でさえなかった。
"才能"と言える物は何一つ持ってなかった。
それなのに
僕は"彼ら"よりも
"彼"に強く惹かれていたんだ。
何故なんだろう。
僕にとって何の価値も無いはずの
"彼"という存在は、いつの間にか僕の中で
簡単には切り捨てられないほど
大きくなってしまっていた。
それは多分、今も変わっていないのだろう。
現に、もう死に際が近付いているような
この絶望的な状況にあっても
僕は
"彼"のことしか考えていないのだから。