小説(弾丸)
□キミの瞳の中のボク
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最近、視線をよく感じる。
柔らかく刺さってくるような、むず痒い視線。
その視線の先には、決まってアイツが居た。
――狛枝凪斗
特に何を言ってくるでもなし。気が付くと俺の方をじっと見つめているのだ。
それに気付いたのは、ほんの一週間前。大学に入学してから半年ほど過ぎ、秋もすっかり深まってきた頃だった。
狛枝との面識はほとんど無かった。時々同じ教室でちらっと顔を見るくらいで、面と向かって話をしたり、すれ違いざまに挨拶も会釈もしたことが無いほど、関わりも浅かった。
なのに何故…
正直あまり良い気分ではなかった。友達でもなんでもない他人から、じっとりとした視線を送られて…
何が原因なのだろうか。俺がアイツに何かしたのか?だがほとんど関わりを持ったこともない人間に、どうしたも何もないのだが…