一部

□残り香
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【残り香】

カカシ先生の匂いは何だか、落ち着く。
ずっと側にいて欲しい。そう思わせるような、優しい匂いがするんだ。









「ナールト」
「カカシ先生っ!?」

いつも神出鬼没に俺ん家に出入りするカカシ先生に驚くのは、俺の日課になりつつあった。
先生は意地悪でやってるのか天然サドっ子なのか、毎日のように現れたり、一週間空けて来たりと緩急をつけてくるから気が休まることがない。
ちなみに今日は、前に来たときから三日目だ。

「最近、寒くなったね」
「あー!!」

それともう一つ、カカシ先生には困ってることがある。
それは、カカシ先生が俺ん家に遊びに来る度にベッドに潜り込むことだ。
明日も早いのに、なかなか帰ってくれなくて、諦めて一緒に寝たのはもう指で数えきれない程・・・。

「明日も早いし、早く帰るってばよ!カカシ先生っ‼︎」
「そんな大きな声出さないの。ご近所迷惑デショ?」

しぃーって、人差し指で唇を塞がれる。
その顔が格好良くて、カカシ先生の思惑通り黙っちゃったけど、今日こそは、帰ってもらわないと困る!
このままじゃあ駄目だってば!




カカシ先生と一緒に寝るのは、暖かくて好きだけど、好きだから任務に二人そろって遅刻なんてよくあることで、そんな毎回遅刻して行ったらサクラちゃんに申し訳ないってば!!

「ということで、出ていって!」
「んー、もう少し・・・」

カカシ先生は、最後の足掻きとばかりにベッドの上で身体をゴロゴロと転がす。
そんなに居心地がいいのだろうか?まだ数回しか訪れたことのないカカシ先生ん家のベッドの方が、柔らかくて気持ちいいのに・・・。

「よし、これくらいかな?」
「何がだってば?」
「んー?ナルトのベッドに、俺の香りをつけていってんのよ」
「へ・・・変態!!」
「変態で結構・・・おやすみ、ナルト」

そう行ってベッドの中から居なくなったカカシ先生。
俺のベッドからは、確かに俺の匂いとともにカカシ先生の香りがした。






やばい・・・。
明日も遅刻しそうだってばよ。

end


20140730 改稿

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