一部

□逢いたくて…
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【逢いたくて…】


大好きなキミに、今すぐ会いたい。
…だけど、大人の意地って言うのかな?変なプライドとか、気恥ずかしさが邪魔をして、会いに行くのを少し躊躇う。
でも、本当は何時でも会いたいし、触れていたいよ…。







Side.N


寝る前に時計をみれば、もうそろそろ針は11時を指す時間だった。
俺は、独りぼっちの部屋で小さくため息をつく。
ベッドに、もそもそと入りたくないような入りたいような・・・曖昧なスピードで布団の中へと入った。



10月半ばを過ぎ、本格的に冬になろうとしている時期の布団は冷たくて恋人の低い体温を恋しく思う。

(今日も、カカシ先生来なかったてば・・・)

長い年月を経て恋人になったカカシ先生は、俺が一人前になっても忙しいままだった。
今日中には、任務を終え帰って来てるはずカカシ先生に我が儘は言えない。カカシ先生の部屋で待っていようかと思ったりもしたけれど、流石に気が引けて止めた。

(もう寝よう・・・)

明日も早い俺は、温くなってきた布団の中で意識を手放した。








Side.K


任務を終えて自分の部屋に入ると、時計は0時を過ぎていた。

(今回の任務は、大分手間取ったからなぁ・・・)

この時間では、愛しいあの子はもう起きてはいないだろう。
今から瞬身を使って会いに行っても、ナルトの迷惑になるか起きてくれないまま朝を迎えることになりそうだ。


チラリと窓の外を見ると、心做しか夏よりも星達が煌めいて見えた。






しばらく部屋を空けていたせいか埃っぽい・・・。ついでとばかりに窓を開き、外の清涼な空気を肺一杯に吸い込んだ。

(少し開けとこう。)

自分が風呂を出る頃には、埃っぽさもマシになっているだろうと目安をつけて脱衣所にむかう。
返り血や土、自分の血を煩わしく思うのはSランク任務を終えて帰って来た時だ。
任務中は、気が張っているせいか然ほど気になりはしない。
しかし、平和な木ノ葉に帰ってくれば自分の格好は酷く場違いな気がして、誰が見ているわけでもないのに早く洗い流したいと思う。



熱いシャワーを浴びながらシャンプーを4回行い、次に身体の隅々までボディシャンプーで5回洗う。
そうしてやっと、自分が『はたけカカシ』であることを実感できる。熱いシャワーのせいで曇った鏡に、シャワーをぶつけ自分の姿を確認する。
目の前には、ボーッとした情けない中年男が映る。

(やっぱり、ナルトに逢いに行こう)

シャワーのノズルを閉めて、身体を近場に置いていたタオルで拭く。
寝間着というには少し機動性を重視した服を着れば、後は開けたままでいた窓から飛び出した。





目標は、キミの部屋。



end
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後書き
付き合い始めたばかりで、『逢いたい』って気持ちと『迷惑だよね?』って気持ちに揺れ動く二人。






オマケ

カタッ...

「ナルト、起きて」
「・・・うー」
「ナルトー?」
「・・・ぅうん?」

ダメだ、やっぱり起きてくれない。・・・しょうがないから、一緒に寝ようかな?

モゾモゾ...

「んー?」
「あ、ナルト起きた?」
「カカシ先生ぇ?」
「ただいま。一緒に寝よ?」
「ん、カカシ先生おかえり・・・すー」

あ、寝た。
多分、明日には覚えてないんだろうなー。


二人で寝る夜は、寂しくもないし寒くもない。
幸せでぬくぬくと気持ちいい。



どうか、このトキが長く続いてくれますように・・・。


end



20140730 改稿

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