一部
□好物の行方
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【好物の行方】
Side.K
明日は、久しぶりに二人ともお休みが取れたから、俺の家でのんびりしていたらお風呂からあがった恋人はひどくご立腹。
腕を組んで、仁王立ち姿のナルトはイライラしているのか床をトントンと、踏んでいる。
「カカシ先生ってば…」
「んー?」
もう何度も読んだイチャイチャパラダイスを読みながら、意識をナルトに向けた。その態度すら、気に入らないナルトはさらに、イライラしたようで…。
「俺の牛乳どうしたんだってばよ!!」
「牛乳?」
「そうだってば!風呂上がりに飲もうとしてたのに、ないんだってばよ!!」
思わず腰掛けているソファーから、ずり落ちそうになった。
(こんなに怒ってるから俺が、何かしたのかと思ったじゃない…)
そうは思っても、ナルトにとっては重要な問題だし冗談抜きで怒っているで下手なことは言えない。
「それで、何処だよ牛乳!!」
「無いよ」
「はぁ!?」
(あぁーあ、せっかく内緒にしてたのに…)
思わぬ伏兵に、足を取られるなんて…俺もまだまだってコトかね。
これ以上ナルトの機嫌を悪くするのは勘弁なので、なくなった牛乳の理由を俺は説明することにした。
ー数分前ー
Side.N
二週間ぶりのお休みの前日。
久しぶりのカカシ先生の家に来た俺は、ダラダラしてて晩ごはん食べる前にお風呂に入って、ものすごくご機嫌だった。
(明日は、カカシ先生と"でーと"だってばよ!)
忍びという職業柄、決まった休みなんてなく、二人とも同じ日に、お休みが取れることは少ない。
さらにいえばカカシ先生は、エリート上忍だから下忍の俺と違ってお休みだって多くない。
だから、ゆっくりできる明日を楽しみしてた。
なのに…。
お風呂からあがって、いつもの様に牛乳を飲もうと冷蔵庫に向かう。
前に、カカシ先生から『牛乳は冷蔵庫に入れなきゃダメだよ』って言われたからその通りに冷蔵庫に入れてた。しかし、お目当ての『うし』と書かれた牛乳パックは見当たらなくて目を凝らして冷蔵庫の中を見た。
でも、ないものはないままで無くなった牛乳の犯人はカカシ先生しかいない!そう思った俺は、カカシ先生を問い詰めにリビングに移動した。
確かに、無くなった牛乳はカカシ先生のせいだった。
あのあとカカシ先生を問い詰めたら、仕方なさそうに冷蔵庫に向かった。
俺もその後ろをついて行こうとすると、カカシ先生にダイニングで待っててと言われて、いつも俺が座る席に座る。
「…先に、ご飯食べる?」
「牛乳のが、先だってばよ!!」
「…はぁ」
冷蔵庫の方から、カカシ先生のため息が聞こえる。キッチンからでたカカシ先生は、冷蔵庫から何かを持ってきたようだった。
「!?…先生、それなに?」
「…ケーキ」
いや、それは理解できる。問題は、何故ここにケーキがあるの?とか、牛乳とケーキの関係性は?とかそういうことが聞きたかった。
「や、そうじゃなくて…ってか牛乳は?」
「だから、コレ」
カカシ先生の視線は、テーブルに置いたケーキに向いていて…。ちなみに、ケーキはフワフワの生クリームがのったショートケーキだ。
「まさか、コレに使ったってば!?」
「…うん」
完璧に作られたショートケーキは、お店に売られてても不思議じゃないほどでふんだんに使われたイチゴと、クリームの白とのコントラストが綺麗なケーキがそこにあった。
「なんで、急にケーキ作ったんだってばよ?」
「だって…」
もう牛乳の怒りよりも、急にケーキを作ったカカシ先生が気になった。
「だって、なんだってば?」
「一年」
「へ?」
「付き合って、一年だから…」
先生の解答は、とても弱々しかった…。
Side.K
言い出しにくかった。
付き合って一年だから、ケーキを作ってお祝いしたかったなんて…女々しいにもほどがある。でも、頑張って作ったのだからナルトに食べて欲しくって…。
ご飯食べた後にでも出そうかな、なんて計画してたからこんな風にばれるなんて思ってもみなかった…。
全部を説明するのは、死ぬほど恥ずかしかったけど…ナルトが抱き着いてきてくれて、これで良かったって安心した。
「なんだよ、カカシ先生ってば一人でイロイロして…ズルいってば・」
腰周りに抱き着くナルトは、耳を赤く染めながらぐりぐり額を擦りつけてきた。
「ごめんね、ナルト」
「べ、別にいいってば///」
髪を梳くように頭を撫でれば、ナルトは嬉しそうに目を細めた。
「先生、ご飯食べよ!」
「うん、そうしようか」
「そいでもって、早くケーキ食べるんだってばよ!」
また、一年キミといられますように…。
そう願いを込めたケーキを、ナルトと二人で食べた。
「カカシ先生、ずっと一緒にいような!」
「ナルト…///」
end
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後書き
女々しいカカシ先生が大好きです。
おまけ↓↓
「でも、カカシ先生…」
「なぁに、ナルト?」
「やっぱり、ケーキには牛乳があうってばよ」
二人でケーキを食べていると、しょぼんとした表情でケーキを見つめるナルト。
「牛乳あるよ?」
「え!?」
「多分もう冷えてると思う」
ナルトは、一目散に冷蔵庫に飛びついた。
「…無いってばよ?」
「冷凍庫のほうだよ」
「なんで、こっち?」
「こっちの方が、早く冷えるかなって…。ごめんね、お風呂あがりに間に合わなくて」
「先生///」
二人には、甘いケーキも白い液体もいらないくらい甘いようです。
end
201208 改稿
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