短編CP集(NARUTO)

□薔薇
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ある雨の夜のことだった。
修行帰りだった私はとぼとぼと暗い道を歩いていた。

突然そばの木の陰からドサッという鈍い音がして、
私は驚いて駆け寄った。

それが、小南さんと私の出会いだった。


服がボロボロだったので、小南さんが暁だと分からず、近くの病院に運び込んだ。
目が覚めたあなたに、何故か私は嬉しくなって、抱きついた。
なぜあなたは、この時に私を殺さなかったのですか?
お互いに名前も知らないまま、病院の人に身許を確認される前に、あなたはボロボロの体を引きずって去っていってしまった。


私はいつもいつもあなたのことを考えた。
もう二度と会えないであろうあなたのことなんて、忘れてしまいたかった。
でも、目覚めた時に私に言った「ありがとう」という言葉が、どうしてもわすれられなかった。



そのまま何年も過ぎて、あなたは突然私の前に現れた。
私はあなたの衣を見て、気を失いそうになった。
身動きの取れない私を、あなたはふわりと抱きしめて。

「会いたかった」

と言ってくれた。

暁と木の葉、本当に禁断の恋。
国際指名手配されている女性に惚れてしまうなんて、と思っていたけれど、どうしてもこの思いは消えてくれなかった。

一、二週間に一度、人目を忍んでわたし達は逢瀬を重ねた。
しかしあなたの態度は冷たいものに変わっていき、とうとう私の前から姿を消した。

小南さん、今あなたは、どこにいますか。
どうか、どうか無事でいてくださいね。
私は今日も、あなたを想って月を眺めます。

いつかあなたにいただいた、小さな折り紙の赤い薔薇を手に乗せて。




薔薇の花言葉は愛。
マーガレット(心に秘めた愛)もいいなと思いましたが、それは現パロな小説で。
小南とヒナタは私のお気に入りでして……テマヒナもいいですけどね。
ヒナタの独白ですが、彼女はちゃんと小南姉さんの気持ちも分かってます。
よろずのこともはじめ終わりこそをかしけれ、両想いなのに結ばれない恋っていとをかしですよね(突然の古典

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