短編CP集(NARUTO)

□この想い、一方通行。
1ページ/1ページ

オレがデイダラを見れば、いつもデイダラはトビを見ている。
丸分かりだ、トビが好きなんて。

トビもオレの気持ちとデイダラの気持ちを分かっているようで、デイダラを避ける。
しかしあいつは、めげずにトビに近づこうとする。
何でだろうな。

「オレじゃダメかよ……」

独り言のつもりで、誰にも聞かれず消えていくはずの声を、トビは聞いてしまったようで。

「ボクも今、同じ気分ッス」

と、珍しく思い詰めたような声を出した。

「お前も好きな奴がいんのか」
「んー、まあ。でも、その人はボクのことをよく思ってないッスよ」
「へえ、片思いか」

オレもお前の事、よくは思ってねぇ。

「サソリ先輩、デイダラ先輩のこと好きッスよね」
「ああ」
「他に好きな人とか作れると思いますか」
「いや。たぶんこの気持ちは消えてくれねえだろうな」

オレはつい、苦しそうな声を出してしまった。
それを見たトビの写輪眼が、苦痛そうに歪む。

「サソリ先輩は、ボクのことが嫌いですか」
「そうじゃねえけど」
「じゃあ、好きですか」

その時、バタンと音がしてトビの後ろのドアが開いた。
デイダラが、トビを、驚いたような目で見つめている。

「トビ、てめぇはオイラより旦那の方がいいのかよ」
「ボクはサソリさんが好きなんです」

トビの真っ直ぐな瞳、涙を堪えながらそれを見つめるデイダラ。

オレは何も言えないまま、固まった。

「何だよ旦那!トビがそう言ってんだ、何か言ってやれよ、うん」
「オレは、オレは……デイダラが好きだ」

そう言い残すと、二人を部屋に残し、アジトの地下の暗い廊下を走った。
ギリっと歯を食いしばり、壁をダンっと殴って、オレは涙を堪えた。

二人がどうなったかは知らない。
オレがいなければ、デイダラはトビと幸せになれたかも知れない。
オレらしくもない自責の念が、オレの心臓をぐっと掴んだ。


しかし、デイダラへの思いは告げてしまったことでどんどん大きく膨らんで。
今のオレには止められそうもなく。
オレはただ、廊下にしゃがみ込んで苦しさに耐えることしかできなかった。


この想い、一方通行。


逆行することは、多分ない。







トビ→デイ→サソはよく見るのにその逆ってないなぁと思って書いた作品。
いやぁ、こういう関係書けるのってBLならではですよね。
完全なる三角関係(´・ω・`)
うん、両想いより片思いの方が美味しいです(^q^)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ