黒バス

□【にゃんにゃんにゃん!!】
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「あー……。眠ぃ…」
「あっ、青峰っちー!!」
「あ?」

青峰が欠伸をしながら体育館に向かっていた途中、後ろから賑やかな声が掛かる。

「おー……黄瀬……」
「青峰っち、部活終わったら1on1!」
「あーはいはい」

雑談をしながら体育館の扉を開ける。するとそこには、既に準備を始めている部員達の姿。

「あ、黒子っちー!!」

扉を開くなり、黄瀬は直ぐに黒子の元に駆け寄る。

「あぁ、黄瀬くん」
「………あれ?黒子っち、どうしたんスか、それ………」
「よぉ、テツ………ん?」

問い掛けながら、徐々に固まる黄瀬。遅れてやって来た青峰も、黄瀬と同様に疑問符を浮かべる。

「あぁ……。これですか?これは、赤司くんが『着ろ』と……」

そう黒子が説明している言葉は、残念ながら黄瀬と青峰には入っていなかった。理由は、二人共黒子の服装に見入っていたからである。
今日の黒子の服装、それは何時もの練習着ではなく、薄い水色のパーカー。が、ただのパーカーでは無く、フードに猫耳が付いている物だ。そして、黒子はずっとそのフードを被っている。

「「…………。」」
「………あの、二人共、聞いてます?」

全く反応しない二人に、心配になった黒子が声を掛ける。それで我に返った二人は、同時にアクションを起こす。黄瀬は勢い良く携帯を取り出し、無言で黒子の写真を撮り始めた。そして青峰は、声を上げて爆笑し始めた。

「っはははははは!!!な、何だよテツ、その格好……!!」
「笑わないでください。僕だって好きでしてるんじゃありません」

膝を折って笑う青峰に、黒子が不服そうに反論する。

「あれ〜?何やってんの?」
「全く、騒いで無いで早く準備をするのだよ」

と、そこに紫原と緑間が入ってくる。

「何、黒ちん可愛いカッコしてんね〜」
「可愛い、と言われても嬉しく無いですよ、紫原くん」

紫原は黒子に近付くと、後ろからフードの猫耳を引っ張った。

「でもほんとに可愛いよ?何かブカブカだし」
「あぁ、これは赤司くんの拘りだそうです」
「赤司?またあいつの差し金か………」

後からやって来た緑間は、赤司と聞いて溜め息を吐いた。
と、そこにまた新たな声。

「天使の様に可愛いだろう?僕のテツヤは」
「馬鹿な事言わないでください、赤司くん」

悠然と此方へ歩みを進める赤司に、黒子がすかさず反論する。だが、赤司は見事に無視し、満足そうに黒子を見た。

「素晴らしいセレクトだろう。今日は猫の日だからな」
「猫の日?そんなのあるのか?」

やっと笑いが収まった青峰の問いに答えたのは、ずっと写真を撮っていた黄瀬だった。

「二月二十二日で、にゃんにゃんにゃん。それで猫の日なんスよ」
「へぇ〜、そうなんだぁ。それにしても、マジ赤ちんナイス〜」
「ふっ、当然だろう?」
「ナイスでは無いのだよ!赤司、いい加減黒子に自分の趣味嗜好を押し付けるのは止めるのだよ!」

何故か得意気な赤司に、緑間が制止に入る。
そう、赤司はこれまで何度も黒子に服やコスプレを押し付けていたのだ。押し付ける赤司も赤司だが、甘んじて着てしまう黒子も黒子だろう。

「……えー………」
「えー、じゃないのだよ!!黒子、お前も何とか言ったらどうなのだよ!」
「……別に僕は構いませんよ。様々な格好をして僕に不利益が生じる訳でも無いですし、赤司くんの無茶振りにももう馴れました」

黒子はさらりとそう言って退けた。それを見て、赤司は勝ち誇った様な顔をし、緑間はまた溜め息を吐いた。

「あぁ………。黒子っちマジ天使……!!!」
「そうだろう?分かってるじゃないか、黄瀬」
「当たり前っスよ!!」
「1サイズ上のパーカーを着る事から生まれるこのブカブカ感とこの萌え袖!!全て計算済みだ………!!」
「流石赤司っち!!」
「ほらテツヤ、もっとにゃんにゃんにゃんな感じで」

赤司と黄瀬は、二人で何やら盛り上がっている。

「意味分からないですよ赤司くん。あと紫原くん、そろそろ重いです………」
「ん〜?だいじょーぶだいじょーぶ」
「いやだから、大丈夫じゃないです………」

黒子は自分の頭に体重を掛けてくる紫原を退かせ様としている。

「何か俺……改めて赤司の事尊敬したわ………」
「あんな奴、尊敬等しなくていいのだよ………!!おい赤司!そろそろ練習を始めるのだよ!!」

一人頷き、納得している青峰に、懲りずに赤司に声を掛ける緑間。

まだまだ練習が始まる気配は無い。
帝光中バスケ部は、今日も平和です。



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猫の日!!
ひっさびさに更新した……。
なんかもう赤司くんのキャラが迷子……。




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