犬鬼灯

□第5話 タコの時間
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その日の小テストの時間はまあ、酷いものだった。

拗ねて壁にブニョンブニョンと八つ当たりする殺せんせーに始まり、そのせんせーとついでとばかりに寺坂達を挑発するカルマ。

なおその時、先生の触手がまたしても破壊された。




のは、良いのだが。

「そっちの色ツヤの良い方で。」

市場で買い物をするカルマを遠目に眺めながらあくびをかみ殺す。

何故こんな朝も早くから朝市に来ているかと言うと、昨晩カルマに頼まれたからだ。何でもタコを買いに朝市に行きたいが丁度良い電車がないのだそうで。そもそも近場に平日にやってる朝市なんてないから少し遠出しないといけないというのもネックだ。そこでアタシに交通手段の確保をしてほしいそうだ。まあようするに、足に使われた。

なお暗梨はまだ家で夢の中だ。さすがにこんな朝早くに付き合わせる訳にはいかない。

「お待たせー。これ学校間に合う?」
「いけるいけるー。いつの間にそんな優等生になったのさ。」
「俺はいつでも優等生だよ。まあこのタコを先生が来る前に殺さないといけないからね。」
「んん、そっかー。」
「眠そうだね。」
「そりゃね。タコぐらいスーパーで買いなよ。」
「丸のままでは売ってないじゃん。商店街の魚屋じゃ夕方には良いのは売り切れだし、朝は学校始まる前に開かないし。」
「そのためだけにこんな早起きさせられたというのか…。」
「いやー、持つべきものは友達だよね。助かったよ。」
「はいはい。…ごめん、寝る。」
「うん、おやすみ。肩貸そうか?」
「うんー。」

手配した車の中で話していたが、眠気が限界になり、そのまま流されるように眠りに落ちた。
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