リボーン短編
□ティッシュ配り
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お姉さんの声は鼻声だった
風邪を引いたんだろうな…
あんなに寒いところでずっとティッシュを配っていているんだから…
そんな事を考えながら歩いていたら
コンビニが目に入った
「……」
別に何か特別な事をされたわけでもなく
ただ単純にあの人が何百人と通る中で
オレの事を覚えていてくれた事が嬉しかった
だからお礼と言ってはなんだけど
暖かい飲み物とのど飴を買って
お姉さんの方に向かった
案の定お姉さんは不思議な顔をしながらこちらを見ていた
「あの、これ
よかったらもらってください」
とさっき買った物が入ってる袋を渡した
『え!?
い、いや、そんな、貰えませんよ!』
「いいんです
風邪、早く治るといいですね」
最後は無理やり手に持たせて赤にならないうちに
信号を渡った
後ろを振り返るとお姉さんがペコペコしながら口ぱくで
お礼を言っていた
オレは返事のかわりに微笑んで駅に向かった
お姉さんの顔が赤かったのは
風邪のせいだろうな…
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