カオス

□原くんの兄弟
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 ――原家のリビング。


原一哉(以下、原)「今日の部活は午後からかー……。休日午後練って正直ダルいんだよねん」

潤乃「あれー? カズ、何やってんの。部活は?」

原「今日は昼から」

潤乃「ふーん。じゃあ、午前中は暇なの?」

原「暇だけど、何?」

潤乃「遊んで」

原「やだ」

潤乃「なんで? 悠なら遊んでくれるのに」

原「潤乃と遊んだらろくなことねぇからヤダ」

潤乃「そんなことないって。潤乃、すげーいい子じゃん? この間だって、一緒にゲームして楽しかっただろ?」

原「どこが? お前、最後に“潤乃がセーブする!”とか言って、セーブデータ消して、全然楽しくなかったし」

潤乃「えー? カズ、まだ怒ってんの? ちゃんと謝ったじゃん、ノリノリで“ごめんね”って」

原「ノリノリって時点でちゃんと謝ってねぇって気付けよ、このバカ」


潤乃「じゃあさー、カズは一生潤乃と遊んでくれないわけー?」

原「出来れば、な」

潤乃「カズのいじわるー」

原「てか、その服装なに? 何でオレの制服着てんの?」

潤乃「見てー、萌え袖」

原「萌えねぇよ。そういうのって女の子がするから可愛いんだし」

潤乃「でも潤乃、学校でもどこでも可愛いって言われてるしー。男女問わずに告白されるよ?」

原「男女比7:3で男からの告白がほとんどだろ」

潤乃「んー……、今年度は男からの告白11回、女からの告白12回だから五分五分かな?」

原「お前、うぜーな。何でこんなヤツがモテんのか、意味わかんねぇ」

潤乃「潤乃のカリスマ性かな?」

原「なあ、お前の頭に肘鉄かましていい?」

潤乃「それは試合の時だけにしてくれない? うざいから」

原「お前がうぜーわ」


 ガチャ。
 原と潤乃が話していると悠市が入ってくる。


悠市「ただいまー」

潤乃「あー、悠。おかえりー。朝帰りって、まさか女?」

悠市「それなら嬉しいけどな。バイトだ、バイト」

潤乃「そっかー、残念。お姉ちゃんが出来るの楽しみにしてたのに」

悠市「あはは、ごめんな」

潤乃「いいよー。ところでいつ給料日なの?」

悠市「ん? 月末だけど」

潤乃「へー、そっか」

悠市「どうした?」

潤乃「うーん? 別に何も。ただ、月末まで働いたご褒美ないの大変だなあって思って」

悠市「まあ、働くってそんなもんだよ」

潤乃「大変だろうけど、頑張ってね、悠兄」

悠市「ありがとう、潤乃。お前、本当に可愛いな」

潤乃「えー? 潤乃は普通だよ。むしろ、もー少し男っぽくなりたいなあって。やっぱ男は強い方がいいじゃん?」

悠市「潤乃は今のままで良いって」

潤乃「でーもー、性格くらいは直した方がいいよなー?」

悠市「ん? 別に今のままでいいんじゃない? 潤乃は潤乃なんだから。って、昔からそう言ってるだろ」

原「昔からそう言った結果がコレかよ……(ボソッ)」


潤乃「んー? どーかした、カズ?」

原「別に、何も?」

潤乃「それよりー、悠兄」

悠市「ん?」

潤乃「潤乃、暇だから遊んでよ」

悠市「ごめん、ちょっとお兄ちゃん疲れてて」

潤乃「ブー」

悠市「ごめんな。代わりに一哉に遊んでもらって。頼んでいいか、一哉」

原「は? ちょっ、ナニソレ」

潤乃「わかったぁ! じゃあ悠兄はゆっくり休んでね」

悠市「ありがとう。じゃあ潤乃のこと頼むよ、一哉」


 ガチャ、バタンっ。悠市はリビングから出て、自室へ向かう。


原「…………」

潤乃「だってー、カズ。悠もああ言ってることだし、遊んで」

原「ふざけんなよ、お前。マジうぜぇ」

潤乃「えー? なんのことかなー、潤乃は頭が悪いからわかんなーい」

原「……くそ、何でこんなヤツがオレの弟なんだよ」

潤乃「父さんと母さんが望んだからに決まってんじゃん。残念だったね」

原「マジうぜー」

潤乃「それよりさー、マジ暇なの。外出て遊ぼうぜ」

原「昼から部活だって言ってんじゃん。数分前のことを忘れるとか、頭にプリンでもつまってんじゃないの?」

潤乃「プリンよりゼリーがいいなあ。てか、そんなことより、さっさと部活の用意してこいよ」

原「は? なんで」

潤乃「遊んで、そのまま部活行けばいーじゃん。早く用意してよ」

原「…………チッ」
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