妖精と…
□妖精とワンダーワールド
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サラマンダー3人VSフィリアVS蛾数十匹。さらに、蛾は増え続ける。
「っち!面倒なことをしやがって…。」
「私を見逃さなかったのがいけなかったのよ。」
サラマンダーもどうやら数十匹の蛾相手に苦戦しているようだ。フィリアはあの煙幕を直撃していないので相手をしなければならない蛾の匹数はサラマンダーに比べれば少ない。が、サラマンダーは3人、フィリアは1人。サラマンダーが優勢なのは変わらない。せいぜい、フィリアの得意とする混戦に持ち込めた位だ。
(この混戦で勝機を見いだせれば……)
蛾と戦い続ける中、サラマンダーの1人の背後をなんとかとり、渾身の一撃のお見舞いする。
「くっ!!」
攻撃を受けたサラマンダーは赤色の炎―エンドフレイムに巻かれ、小さな灯火となった。
(後2人……!!)
おそらく、サラマンダーの残りの2人を倒しても、この蛾の大群からは逃げられないだろう。それはフィリアも残りのサラマンダーも同じである。しかし、フィリアは気分的に負けたくなかった。
(なにがなんでも、私が仕留める!!)
左側から襲ってきた蛾を凪ぎ払いながら、残りのサラマンダーとの距離を詰める。
「セェィヤァァ!!」
他の蛾からの攻撃をかわしつつ、サラマンダーに攻撃を仕掛けたときだった。
ーーー『おいで、フィリア。』ーーー
(っ?! こんなときに混線によるバグ?! ついてない……。)
サラマンダーの胴がフィリアによって分断される。たちまちエンドフレイムが燃え盛り、灯火だけが残る。
ーーー『おい、無視は無いだろう!無視は…。せっかく繋げてやったと言うのに…。』ーーー
声が鮮明になっていくにしたがって、フィリアの視界は暗くなっていく…。サラマンダーは後1人。なんとか仕留めようとするものの、暗くなっていく視界に翻弄され、隙が出来てしまった。
「しまったっ!!」
サラマンダーが出来た隙を見逃すわけがなく、長槍がフィリアを貫きかけたとき、またもや声が聞こえた。
ーーー『助けてあげよう…。どうやら、隙が出来てしまったのは、私のせいのようだからね。』ーーー
(はぃ?! この状況で助かる道があると? 何バカなことを…。)
と思いつつフィリアは回避体制を取ろうとした。が、視界がさらに暗くなっていき、ついには、フィリアに槍を向けていたサラマンダーの姿さえ見えなくなってしまった…。
ーーー『ワンダーワールドへようこそ、フィリア。』ーーー