中編

□青春レモンとペパーミント4
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ぞうさんの絵を描いている私の隣に白石君がしゃがみこんだ。
私の描いた絵を見て、

「かわいいぞうさんやな。」
と微笑む。
だが、いつもなら一応応える会話も、今日・・・ううん、今ばかりは例外である。

「今拗ねてるから話しかけないで。」
「・・・そんなに俺と夫婦なんが嫌なん?」
「嫌。」
「・・・ばっさりやな。」
後ろにいたらしい謙也が同情を孕んだ声で言う。
まあ、拗ねていた原因はその謙也なのだから、白石君には関係無いのだけれど。
でも、嫌なものは嫌だ。
誰だってそうだろう。
私は金ちゃんと一緒にいたいのだ。
いや、むしろ世話を焼きたい。
とことん可愛がりたい。
なのにどうして、敵である白石君と一緒にいなければならないのか。

「私、ライバルとは結婚しないから。」
「せやから、ライバルじゃないんやって!!」
「どこが!?」
「全部や!!」
何が全部だ。
むしろ、全部が私のライバルたる理由だろうに。
その手にしている包帯だって、金ちゃんを脅すための道具なのだ。
毎日毎日つけているなんて、金ちゃんと一緒にいるためならどんな手段でも使ってやる、という証ではないか。

「・・・自分ら、恋愛云々の話はせんのやな。」
また呆れられたが、私はそんなツッコミ大好きな彼に宣言した。

「恋愛より金ちゃん!!」
「自分、それでも本当に女子中学生かいな!!」
「当たり前や!
こんなに制服が似合うんやからな!」
「なんで白石が答えるんや!?」
・・・確かに、私は女子中学生以外の何者でもないけれど、白石君が応えるのは謙也が言う通りおかしい。
そんなに人に敵意を持たれるのが嫌なのだろうか。
だが、そんな100%お世辞と分かるような発言で、私のライバル心が消えると思われているのなら、その綿菓子よりも甘い考えを笑ってやろう。
私の金ちゃんへの愛情は、空より大きいのだ。
 

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