中編

□青春レモンとペパーミント2
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「部活やでー!!」
まだ鍵の空いていない部室の扉をガンガン叩きながら叫ぶ金ちゃん。
うんうん、テニスしたくてしょうがないんだよね。
無邪気だな、と微笑ましい光景に、頬の力が緩む・・・のだろう、彼がとなりにいなければ。

「元気やな、金ちゃんは。」
そう笑顔で話す白石君は、おそらく私に話かけている。

「そうだね。」
だから一応応えるが、決して私が金ちゃんを懸けた戦いで負けを認めたわけではない。

「ドア、壊れそうやな。」
「そうだね。」
「金ちゃん、バカ力やからな。」
「そうだね。」
「・・・今日も暑いな。」
「そうだね。」
「・・・自分ら、何しとるん?」
この無意味な会話に呆れたのか、それともツッコミ大好きだからかは分からないが、謙也にそういわれた。

「何って、会話だけど?」
「そうなんか、会話なんか・・・って、どんだけおもろない会話やねん!!」
・・・本当、ツッコミ好きだな、この人。
そんなツッコミ大好き人間に、白石君があのな、と肩を掴む。

「謙也、俺かてこんな会話して暑い中いつまでもみょうじさんをつっ立たせようなんて、思ってないんや。」
「そりゃ、そうやろな。」
「でもな、いくら俺達がここより比較的涼しい部室の中で仲良く話そうとしとったとしてもや。」
「おん。」
「部室が金ちゃんによって塞がれてたんやから、しょうがないんや。
ちゅーか、話弾まなさすぎて心折れそうや・・・。」
・・・話が全く読めない。
白石君が真剣な顔で謙也を見てるから聞きいってしまったけれど、さっぱりだ。
白石君が頭いいのはしっているけれど、にしても分からなさすぎる。
これは、私よりもちょっとアレな、謙也には分からないだろう。
そう思って謙也を見ると、

「つまり、自分らは仲良いけど金ちゃんのせいで部室に入れんから話が弾まないんや、って、言いたいんか?
・・・まあ、最後の一言を言った時点で見栄はったのはバレバレやけどな。」
な、なんだと!?
謙也が理解できた、だと!?
しかも、呆れたように言うだなんて、余裕だとでもいいたいのか!?
















「・・・なまえ、何しとるん?」
「ちょっと現実逃避。」
 

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