中編

□青春レモンとペパーミント
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「なまえ!!」
放課後。
今日も部活だ、頑張ろうと気合いを入れて部室へ向かう途中、後ろから小悪魔に呼ばれた。
もちろん、かわいいかわいい金ちゃんのことである。

「何?どうしたの、金ちゃ、・・・ぐっ!?」
「一緒に部活行こうや!」
ちなみに、金ちゃんが小悪魔たる由来は、その凶器的な力を自覚しておらず、こうやって後ろから抱きついてくることだ。
危ない危ない、内蔵吐き出しそうになった。
毎度のことながら、慣れない・・・が、金ちゃんのかわいさなら、許せてしまう。
かわいいは正義と言われる理由もよく分かる。
かわいければどんなことがあろうとも、許せるからだ。
・・・と、最近よく思う。

「うん。行こうか。
今日は暑いからちゃんと水分とるんだよ?」
「おんっ!」
ああ、癒しだ。
もう倒れそうなレベルの。
いつまでもこの時間が続けばいい。・・・と、思ったのに。


「みょうじさん、金ちゃん!!」
人生とは、そう上手くはいかないものである。
さっきの金ちゃんと同じように、後ろから走ってくる、私のライバル。
無駄に爽やかなのがまたムカつく。

「・・・白石君。」
「朝練ぶりやな、お二人さん。
金ちゃんも、みょうじさんと一緒に行くんか?」
「おん!さっきそこで会ったんや!」
「じゃあ俺も御一緒させてもらうで。」
できればお断りしたい。
真ん中に金ちゃん、左右に私達が並ぶ。
まるで、今の私達の関係だ。
金ちゃんを取り合うという、関係の、わかりやすい配置。
笑顔で会話する彼らに、私は心の中でため息をつく。
どうして我が小悪魔になつかれている白石君と一緒に行かなくてはならないのか。
そう、彼は私のライバルなのだから、仲良く並んで廊下を歩くような行為はしたくない。
・・・でも金ちゃんが嬉しそうだから、言えない。

「みょうじさんもそう思わん?」
「え?」
2つ向こうにいるライバルに、そう話を振られた。
でも、三人のライバル関係について一人脳内会議していた私には、全く話が読めない。
よし、ここは無難にいこう。

「うん、そうだね。」








・・・後に私は、この発言をひどく後悔することになる。
 

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