君を追って。

□ミルクティー
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「あ、大地君先に下駄箱行っといて!」
「ああ、わかったけど、・・・どうした?」
体育館を後にして、二人ならんで歩いていた。
私がそう言うと、真剣な声で聞くから、慌てて付け足す。

「心配しないで!すぐ戻るから!」
大地君は心配性な所があるから、早く戻ろう!























「あ、あった!!」
やっぱりここだったんだ・・・。
教室から大地君との集合場所までの道。
何を隠そう・・・私は

「家の鍵落とすとか・・・笑えない。」
よく物を落とす。
小さな頃から落とした物を探していたから、もう物を探すのには慣れっこ。
物が出てくるパターンも知っているから、だいたいすぐに見つかる。
ついでに、



カコンッ



「あっ!」



待たせたらいけないと、大地君が待っている所まで走っていると急に音がして、反射的に振り向くと。
私の数歩後ろで、男子生徒がなにかを落としていた。
それがコロコロ転がり、

「ミルクティー・・・。」
私の足元まできた。

「すみません!」
走ってくる彼に、大丈夫ですよ、と言う意味をこめて笑い、

「どうぞ。」
手に持っているペットボトルをわたす。

「ありがとうございま、」
そこでようやく顔を上げた彼は、ピシッと固まった。

「あ、あの大丈夫ですか?」
何かあったのかなと戸惑いながら彼を見て、ふと思う。
彼は、はっと我に帰ったようですみませんっ、とまた謝った。


「ミルクティー、みたい。」
「え?」
ミルクティーみたい。
彼の柔らかそうな髪や、容姿がそう思わせたのか、それともたまたま彼が落としたペットボトルの中身がミルクティーで、雰囲気とよくあっていたからか・・・よくわからないけれど。
とにかく、彼が顔を上げたとき、ふと思った。

「えっと・・・?」
声をきき、ふわふわとした感じから覚める。
・・・覚め、て?

「あ、ああ!!
私またやって!!
しかも上級生に敬語使うの忘れてっ、す、みません!!」
私のバカバカバカ!!
意味わかんないって思うよね!?
何こいつって思われるよね!?
そう、さっきに引き続き、私には、
一、よく物をなくす。
二、よく自分の世界に入る。
三、よくま「なまえ!!」

「大地君!?」
「遅かったから来てみたら・・・また迷ったのか?」
「あはは・・・。」
私の特徴その三、よく道に迷う。
それで、大地君には小さい頃からたくさん助けてもらっている。
その大地君は呆れ顔で言う。

「その顔・・・肯定と受け取っていいんだな?・・・って、あ、すみません!」
「えっ!?いや、全然気にしないで下さい!!」
大地君が、彼に気づいて慌て出す。
それをみて、彼も慌てて・・・。

「プッ!」
何だか、笑ってしまった。
 

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