何度巡っても
□両親
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「リヴァイー!リヴァイー!!」
ったく。うるせぇ母親だな。
もう九つにもなるのに、目が離れれば俺の名前を連呼しやがる。
「なに、母さん」
そのまま無視していてもいいのだが、何時間と姿を見せなかったらひどく泣かれたことがあって、それからは大人しく名を呼ばれたら出るようにしている。
「あ、そんなとこにいたのね!お出かけするよ」
「どこに」
「ゾエさんのところよー。ハンジちゃんがいるお家ー。」
クソ眼鏡の家か。
3歳の誕生日に母親が連れてきた、所謂ママ友はクソ眼鏡の母親だった。
そーなると、まぁ、必然的にクソ眼鏡も俺の3歳の誕生日パーティーに参加することになって、初めましてだが久しぶりみたいな、お互い上っ面だけの自己紹介をしたのを覚えている。
しかも、あいつはケーキのうえのろうそくの火を消す俺を腹を抱えて笑ってやがったから、母親のいないところで削いでやった。
「俺は、あいつが嫌いだ」
「またそんなこと言うー。仲良くしないと駄目よー」
母親は助手席に俺を乗せ、シートベルトを着用させると車を出した。
窓を開け外の景色を眺める。
高いビルに沢山の車。電車や飛行機。
前とあまり変わらないところをみると死んでから差ほど時が経っていないことがわかる。
「母さん、ピオッジャって知ってる?」
意味はなかった。本当にただ何となく聞いてみたかったのだ。
「ピオッジャ??イタリア語で、雨って意味じゃなかったかしら?」
まぁ、そんなもんだろ。あいつの事が知りたかった訳じゃないといえば嘘になるが、何かしら情報を持っていないかと思ったのだ。
「どうして?」
「……学校で先生が言ってた」
子供らしい答えを言えば、そっか。といって母親は微笑んだ。
空は青く澄んで雲一つなかった。