百年夜行
□余年
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『母様(かあさま)!父様(とうさま)!』
これは、十年以上も前の御話。
産まれながらに霊を扱う血系限界一族の鬼印 織(おり)と、織との永遠を誓った久我 シナとの間に産まれた鬼印 優は5歳の誕生日をむかえようとしていた。
「優、そんなに走っていたら転ぶわよ!」
幼い優は織とシナの元へと走っていた。
『ぅわっ』
まだまだ足元がおぼつかなく織が注意した矢先に石につまづき転びそうになる。
「っと…。大丈夫ですか?坊」
どこからともなく現れた妖狐が転びそうになる優を抱きかかえる。
妖狐の姿は現在も過去も変わらないまま。
『ありがとーようこ!』
優は妖狐に抱き抱えられたまま織の元へ運ばれ、織へと渡される。
「ありがとう、妖狐。」
「いいえ。貴女の一番は我らにとっての一番でもあるのですから。おやすいご用です」
妖狐はそれだけいうと音を立てて消えた。
『母様、父様!今日村のみんなにほーこくするんですよね?』
優は織に抱きつきこれから行われる儀式への不安と期待をぶつける。
「えぇ。大丈夫、村のみんなはあなたの見方よ。私もシナも、そして霊達も。」
「そうだ。優はなにも心配することはない」
二人にそう言われ安心した優は顔全体で喜びを表す。
『うんっ!』
優は元気よく返事をし、織の膝から飛び降りると大きく息を吸った。
『ようこー!どくろー!かまいたちー!えっと、みんなぁー!!遊ぼー!!』
ボンっ。
音を立てて現れた数人の男女。
「「「お呼びですか。我が君よ。」」」
━━━━━━あなたに永遠を誓いましょう
愛しい我らの主よ
あなたの剣に
あなたの盾に
もし その時が来たならば
共に朽ちることも惜しみません
嗚呼。
愛しい愛しい我らの、優