何度巡っても
□初めて
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どうこうしていたら、いつの間にか半年が経ち俺は十になった。
しかし、いつまで経っても雨は降らない。
「1ヶ月か………、異常だな」
もしかして、もう産まれてこないのではと不安になりソファーから立ち上がった瞬間だった。
「リヴァイ!リヴァイ!!いらっしゃい!産婦人科へ急ぐわよ!」
「!?」
女とは思えないほどの力で首根っこを掴まれ車の後部座席へと放り投げられる。
「っ、産婦人科って」
キリトについに会えるのかと思い騒ぐ心を落ち着かせながら母親へと問うた。
「貴方には言うのを忘れていたけど、母さんの知り合いが赤ちゃんを産むの。しかももう陣痛がきてるみたいだからすぐかもしれないわ。」
「な、名前は!?」
揺れる車の中助手席のシートに捕まり答えをまつ。
しかし、期待していた答えと母が口にした名前は違うものだった。
「イェーガーさん宅よ。赤ちゃんの名前はエレン君」
エレン?
あいつはあと五年は産まれてこないはず。
おかしい。
「なんでだ……」
キリトがなかなか現れない焦りとエレンが予定より早く産まれた混乱により本格的に不安になってきた。
何かの間違いだ。
そう思いたかったが、病院でみた赤ん坊は間違いなく俺たちが知っているエレンだった。