何度巡っても

□雨
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昨晩、俺の部下が何者かに殺された。






酷い有り様だったらしい。






殴られ刺された挙げ句犯されていた。








「…とんだ変態野郎だな」








雨が降るなか火葬場の煙突から空へと伸びる煙を眺め、誰に言うわけでもなく一人呟く。








「風邪引くよ、リヴァイ」








振り返れば何度も共に輪廻を繰り返してきた仕事仲間。







「……………」







「これで何度目だい?…………キリトが殺されるのは」





そんなこと忘れてしまった。





キリトは生まれ変わるたびに殺されていた。




何度も何度も。





俺達はどうしてかそれを阻止することができない。





「でも、今回は長く生きた方だったね」





「…そうだな」





二人傘も差さずに煙を見つめる。




「ピオッジャ………」





意味、知ってるかい?



ハンジが唐突に問うてくる。






「………………知らねぇ」





「うそつき。知っているんでしょ」






ピオッジャ。それはあいつのファミリーネーム。




「イタリア語で、雨、だよ。まったく。なんの因果か知らないけどキリトが死ぬ日には決まって雨が降るね。」





「あと、産まれる日もな」





あいつの死ぬ日と産まれる日、つまり、誕生日と命日には必ず雨が降る。





「雨の降る度に怯えなきゃならねえなんて、うんざりだ」





「リヴァイ、怯えるなんて言葉知ってたんだね。……………私も雨はうんざりだよ。」





でも、死んでしまったものは仕方がない。

ふざけているように肩をすくめるハンジを無視し俺は火葬場に背を向ける。





「どこえ行くのさ、リヴァイ」





「雨は嫌いだ。きたねぇし、くせぇ。家帰って寝る」





相変わらずだね。そう言いながらもハンジは俺の後を付いて来る。






「……次こそは何としてでも守ろうね」





「当たり前だ」




頬を伝う暖かい何かを隠すようにしたを向く。




雨は止まない。
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