桜の約束
□プロローグ
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ドクドクと血が流れていくのを綱吉は感じた。
鼓動の音がだんだん小さくなっていく。
「…」
10回目の『死』だった。
(また…俺は裏切られ、仲間だったものの手で葬られるのか)
綱吉は世界に絶望する。
綱吉は彼らに絶望する。
やがて意識がなくなると、次に綱吉の目の前に広がっていたのは、
真っ暗な空間。
そして一人佇む、涙を流す青年。
「すまぬ…すまない、綱吉」
「…初代」
その男はボンゴレの創設者、ボンゴレプリーモ。
ジョットだった。
綱吉は再び絶望した。
また同じ人生を歩ませられるのか、と。
「今度こそ、今度こそ安心していいぞ、綱吉」
「…どういう、ことですか?」
「ふふ、そなたにとっていい方に転じていくのは間違いない。」
綱吉は初代の言っていることがわからなかった。
だが、初代は根拠もなくこんなことを言う人ではない。
「さあ…今一度、生を受けてくれ…」
綱吉は目を瞑った。
初代の言った言葉の意味に深い疑問を抱きながら。
「頼む…綱吉、今度こそ…
いや、せめて心が安らぐ場所を…」
一人、空間に残された初代は綱吉の幸せを、安らぎをただ願っていた。