10萬打リク作品

□果たされた約束
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(リング編雲戦のif)


機嫌良く哄笑しているXUNXAS曰く壊れて暴走“してしまった”モスカの無差別攻撃にその場の全員が逃げ惑っている中。

自慢ではないがこういった状況での体力値も幸運値も限りなく低空飛行に近いルルーシュは、誰よりも先に死亡フラグを回収しかけていた。

なんせ、あっちこっちデタラメに撃ちまくられる砲撃と設置されていたガトリング銃に、うっかり踏み入ってしまった地雷の恐怖。
こちとら一般人なので的確に地雷を踏んでしまっては、本物と違い音を鳴らすそれから慌てて離れるといったことを繰り返している訳でどうしても注意は足元に向きがちになる。

だから、流れ弾がまっすぐ背後から飛んできていたことに気づくのが遅れたのは仕方のないことだった。
まぁ気づけたとしても逃げられたかといえば自分の運動神経的には怪しいところだったのだけど。


「ルルーシュ・・・!」


雲雀の切羽詰まった声にリボーンが、シャマルが、獄寺たちが反応する。
誰が駆けつけようとも間に合わないと悟って最悪の未来に顔を歪める。


(これは、死ぬな)


本人すらもがそう思い、弾丸に痩躯が撃ち抜かれようとしたその時。
きん、と高い金属音と共にそれは真っ二つに両断された。

思わず目を瞑っていたルルーシュは、何度か経験したことのある熱い痛みを感じないことを怪訝に思い、周りがなにやら驚いたような様子であるのを察してまた内心首を傾げながら目を開けた。

目を開けるまでの僅かな間、雲雀が間に合って助けてくれたのかと予想して、しかしやはりそれは不可能だろうと自分と彼の位置を思い返し、その予想に違わず目を開けた時に飛び込んできたのは雲雀ではない。


服装は黒いヴァリアーの制服だった。
腰の刀に霧戦の時に堕落王子の隣で見かけた気もするとぼんやり思う。

顔はマスクとフードで見えなくて、だがフードから零れ出ているのは自分の様に長い黒髪だった。
体格からして男だろうに、なかなか珍しい。


弾頭を両断した剣はあちらこちらの爆発の光を反射して、自分たちの一際近くで起きた爆発は男のフードを飛ばし、明るさで顔を照らした。


「っ・・・」


慌てた様に顔を背けて踵を返そうとする、そのほんの一瞬に、焦がれた紅瑪瑙を捉えたのはルルーシュの執念のなせる技だろうか。


長い黒髪に紅瑪瑙、剣で戦い、自分をいつも守ってくれた男


煙に焼かれた喉が掠れて声が出ない、躊躇う理性が名前を許さない、だけどうるさいほどに暴れる心はきっと答えを既に出していた。




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