10萬打リク作品

□終焉を望む開幕ベル
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一時不穏な雰囲気になりながらも夜神らとLの顔合わせが済んだ時である。

こんこんこん、と響くノックの音に、思わず刑事達の身体が強張る。
名を名乗れば殺されるかもしれないと脅かされて気を引き締め直した途端のことなので無理もないが、部屋の主たるLはいたって普通に入室を許可してみせた。

「お話が終わった頃でしょうから、お茶をご用意いたしました」

からからとティーセットが乗せられた台車を押しながら入ってきた人をみて、思わず松田がふわあと間抜けた声をあげる。
それに頭痛を感じながら、しかし声こそあげていないとはいえ他の面々も大体似たような驚きを表情に出してしまっている。


黙々とテーブルの準備を整えていくその人は、ふわりと大きく広がったスカートに動きづらそうにすることもなくすいすいと動き回り、その度にウエストを飾る大きなリボンが同じようにふわふわと揺れる。

リボンと同じ真っ白いヘッドドレスとは対照的な黒く長い髪は、襟足で束ねられ重力に従ってさらりと背中に流れていた。


「どうぞ、おかけ下さい」

最後の一脚をLの前に音もなく置いてこちらに向き直る、その美貌はそりゃあ言葉を失うほどのものだったが、Lとワタリ以外の人間の度肝を抜いたのは別のもので、ようよう驚きから覚めることのできた夜神の第一声は再び怒気に彩られることとなった。




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