10萬打リク作品
□保護者のお話
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「アスランとルルーシュは同期なんですよね?」
そう問われたのは珍しく日中アラートが鳴ることもなく、パイロット達が比較的のんびりと過ごせた日の夕刻である。
好奇心に輝く目をしたルナマリアに、名前を出された2人はきょとんと揃って目を瞬かせた。
「?あぁ、そうだけど」
丁度口にご飯を運んだところだったルルーシュの分もまとめてアスランが肯定する。
前大戦の同期、特に赤服はやたらと良家の子息が揃っていたのでプロパガンダにはもってこいだったのか、当時は雑誌で特集なんかもされていたはずである。
別に由緒ある家の出という訳でもないルルーシュも、赤服の括りで一緒に載せられていたため割と彼らが同期であるというのは有名な話だった。
そんな目をきらきらさせながら問う程のことだろうか、と怪訝な顔のアスランに対し、ルナマリアは一層顔を輝かせた。
「じゃ、じゃあルルーシュは私達と同い年だった頃のアスランを知ってるんですよね!」
ここまできて、ルナマリアが先輩組に声をかけたあたりからなんとなく周りに集まっていた面々とルルーシュの顔に理解の色が浮かぶ。
ついでにルルーシュは懐かしい親友の顔も思い出した。
あれだ、恋バナとかでテンションのあがったシャーリーみたいな顔をしている。
何故かメニューにあったうどんを食べ終えて、期待のこもった熱い視線を送ってくるルナマリアに口の端をあげてみせた。
「知ってるさ。
今以上に人付き合いに不慣れで下手こきまくってた頃のアスランをな」
「おい!」
人の悪い笑みを浮かべるルルーシュにアスランは焦って黙らせようとしたが、こんな面白そうな話題に彼らがのらない訳が無い。
「なにそれ、聞きたい!」
ルナマリアの隣から身を乗り出したシンは偉そうな隊長の失敗話の予感にノリノリだし、普段はこの2人の暴走を食い止める側のレイまでもが生前のクルーゼの話が聞けるかもしれないと止める気皆無。
後輩たちのそんな様子を見た上で強硬に突っぱねられるアスランではないため、結局恨めしそうにルルーシュを睨むしかなくなる。
確実にどこかの仮面男由来の愉快犯気質が開花していると思われるルルーシュは、不本意そうな年下の同期に笑みを深めて話し出した。
・・・2年前、誰1人欠けることなく丁度今のように寛いでいた時の思い出を。