一万打リク作品

□甘く優しく愛おしく
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製作者がルルーシュである以上、味は折り紙つきである。
頬が落ちそうなほどに美味しいお菓子をつつき、紅茶を楽しむことにしばし我を忘れていたカグヤは、
はっと我に返ってルルーシュに顔を向けた。


ホスト役でもないのに、いつのまにやらルルーシュがかいがいしく全員の世話を焼いて回っていたのだ。
あまりに自然に動かれたせいで、うっかりお茶のお代わりまでもらってしまった。

今も本当に普通に天子の頬についたクリームを拭っていやっていて、しかも少しばかりルルーシュ(というよりはゼロ)に対して遠慮がちであったはずの天子は照れるだけで緊張のかけらも浮かべてはいない。


(ゼロ様ってば、ゼロ様ってば・・・・!!本当にお変わりありませんのね!)


実は8年前に初めて出会った頃も、世話を焼かれたことのあるカグヤである。
改めてゼロ=ルルーシュに納得しつつも、ホストとしてこれは負けてはいられない。

妙な対抗心を抱きつつ、それでもやはり美味しいお菓子に笑顔が浮かぶ。


「ゼロ様本当に美味しいですわ、ありがとうございます」
「そう言っていただけると嬉しいですカグヤ様」
「でも1つ不満がありますの」
「不満、ですか?」


きょとりと首を傾げた、仮面をつけていない自国の救世主にカグヤはにっこり笑って告げる。


「はい!今日は無礼講です、よって、敬語は禁止です」


律儀に敬語と立場を気にしているのはこの場でゼロだけだったのである。
面子が面子だったとしか言いようがないが。
眉を寄せて反論しかけるのにアイコンタクトを受けたCCがプチフルールを口の中に押し込めることで封殺する。
ぎっと睨みつけられても怯む訳がない。


「ホストがそう言っているんだ、大人しく従っておけ」
「幼馴染のお願いですわ」


突然のやりとりにメトロノームと化していた天子がここで先程のゼロと同じ角度に首を傾げた。


「幼馴染・・・?カグヤとゼロ、幼馴染なの?」
「あら?でもゼロの幼馴染って・・・・あぁ、そういうこと」


疑問を浮かべる天子と、納得したらしいラクシャータ。
何を言っても無駄そうだと諦めたのか、一口紅茶を呑んで喉を潤したあと、ルルーシュは天子の方を向いて頷く。


「そうですよ天子様」
「け・い・ご」
「・・・・・そうだよ、麗華」


素早く入った指摘に、しぶしぶ言いなおす。
もともと周りを無邪気に振り回すタイプには弱いのだ、加えてホスト命令とまで言われては従わざるをえない。

名前で呼びかけられてくすぐったそうに笑う麗華に癒されながらも、八年前に日本に留学した時に親しくしていたことを教えてやる。

お互いに意図的に排除した名前について追及するものもいなかった。

その流れで互いの昔話に花が咲く。
普段からプライベートを明かさないラクシャータまでもが懐かしい菓子につられたのか、少女時代の淡い恋の話を語ったところできらりとカグヤの眼が輝いた。


恋バナ。
これがしたくて女子会を開いたと言っても過言ではない。




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