一万打リク作品

□紫カレー事件〜後日談〜
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「紫カレー事件」


それは料理をする環境になかった女性陣たちの真心が生んだ悲劇の名前である。
同時にひっそりと「仮面事件」とも呼ばれている。

事態の収束に乗り出したリーダーがこれ以降、結構団員達の前では気軽に仮面を取ることが増えたためだ。

事件を収束させた時に、予想外に料理上手であったゼロは製作者たちに料理を教えることを約束しており、ブリタニア側が沈黙している束の間の穏やかな日に「ゼロの料理教室」は開かれることとなった。


調理器具が揃っていること、他の団員の目を気にしないですむことなどの理由から開講場所はゼロの私室になった。
参加者はカレン・千葉・カグヤの3人で、紫カレーの異臭がよっぽど恐ろしかったのか、CCは逃亡している。

カグヤはともかく、戦闘員として基本団服をまとっているカレンや千葉は久しぶりに袖を通す私服姿で集まったが、急に呼び出されることを考えたのかゼロ自身はあの事件の折と同様に上着やスカーフ、手袋を外しただけの姿で彼女たちを出迎えた。
素顔も素性もカミングアウト済みであるにも関わらず、頑なに団員達にルルーシュとして接しようとはしないのは、ゼロとしてのけじめなのかもしれない。


「で、和食を作りたいというのが共通意見だったから大体の材料は揃えてみたが」
献立にリクエストはあるか?

全員がエプロンをまとって準備を整えると、ゼロはかくりと首を傾げて尋ねた。

「肉じゃが」
「茶碗蒸し」
「酢の物」

答えは同時に返ってくる。上から順に千葉・カグヤ・カレンである。

「酢の物って・・・」
「し、仕方ないじゃない!!和食って聞いて初めに思い浮かんだのがそれだったんだもの!!」

なんともいえない視線を向けられたカレンが真っ赤になって主張した。
単に酢で和えれば出来上がりのお手軽なものなのは間違いないが。
それってわざわざ習うほどの献立かと突っ込まれていれば、特に呆れた様子もない真面目な顔をしてゼロが少し考え込んだ。


(茶碗蒸しを先に蒸す前の段階まで作っておいて、肉じゃがに取りかかり、蒸すのと煮込むのを同時にやっているうちに酢の物を作るか・・・?酢の物・・・野菜はいくつかあるが・・・、ああ)

ぱんぱん、となにやら騒いでいる生徒たちへと手を鳴らして注目させる。

「その三つと、あとは焼き魚もつけることにしよう。まずは茶碗蒸しからだ」





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