短編

□ロイヤル レジェンド
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バレンタインは西洋の文化であり、日本に輸入されたものだ。
しかし持ち込まれた先が先だったためにバレンタインは西洋とは異なるナニカに化学変化を遂げて製菓会社に恩恵を与え、そしてそれに対応するものまで生まれた。

ホワイトデー。
さっぱり由来もわからない、まぁお返しするのには都合のよい日。
本命にはクッキーだの、マシュマロはお断りの意味があるだの、やたらめったら設定過多の記念日に悩む女性がここに1人。

先月のバレンタインにほぼ学校中の男性から薔薇をもらい、そして学校中の女性に薔薇を贈ってしまった挙句にホグワーツの皇女様なんて渾名をもらってしまったルルーシュその人である。

日本特有の返礼行事なのでイギリスでは関係ないかと思いきや、まさかのアジア系生徒からホグワーツにまで日本の風習は侵食を果たしてしまっていた。

日に日に眼光が鋭くなっていく周りに動悸がとまらない。
それは勿論、悪い意味で。


「半分は自業自得だろう」

スネイプはソファによじ登って頭を抱えている義理の娘をため息まじりに見下ろした。
なんだって入学1年目にして大層な渾名をもらってしまっているのだか。
しかも、食えない上級生と並び称される、寮ではなく学校を背負った渾名である。

忌々しいとある男がキングだなんて呼ばれだしたのだってもう少し遅かったように記憶しているのだが。


「あの人の言葉を間に受けたわけではないが、ほっとけば鎮火すると思ってたんだ…」

「娯楽の少ない寮生活、あんな派手なことしたらどう少なく見積もっても半年は続くとみるべきだったな」


他人に興味をあまり持たないらしい義理の娘は、しかし曲者上級生のことはきちんと認識しているようで、何を考えているのかわからなかった上級生ともども子供らしくはっちゃけていた先月の薔薇の皇族事件(ロイヤルパーティ)には教師陣もほっとしたものだった。

いまのところ副校長と自分、そしてあの上級生以外を個として扱っていないルルーシュだから、今月のイベントはさっくり流すと思いきや、そうはいかないようでご愁傷様である。



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