短編

□三匹の猫
1ページ/1ページ

ルルーシュの過ごす家には猫がいる。

ふてぶてしい家猫と、更にふてぶてしくてつれない外猫の二匹。
どちらもとても美しい黒猫である。

各々好き勝手している猫たちだが、冬場になるとよく猫だんごを作って眠っている。
喧嘩を避けているのか普段は同じ場所にいないというのに、互いで暖を取ることに抵抗はないらしい。

ルルーシュは冬生まれだからか寒さには案外強いのだが、捻くれ者の猫たちの素直で可愛らしい姿を見たいがゆえにかなり早い段階で炬燵を出すことにしていた。

朝になり寝床を見ても姿がないときは、ほぼ100%の確率で彼らは炬燵で丸くなっている。
そこ自体が暖かいというのに、わざわざ肩を寄せ合って眠る姿は普段の冷戦状態からは想像もできないだろう…まぁそれほど互いを嫌いあっている訳ではないのだが。

毛足が長い家猫は撫でるとふわふわと柔らかく、外猫は滑らかな毛並みがクセになる。
どちらも可愛く愛おしい、ルルーシュの友だ。

炬燵の猫だんごの横に滑り込んで、ルルーシュもまた丸くなる。
彼らのそばは、とても寝心地がよい。


§ § §


「あれ、骸?」

どうしたんだよそんな入り口で突っ立って。
日本アジトの隣、不可侵協定を結ぶ風紀財団のアジトに表から入ってきた綱吉は、主の雲雀がいるだろう客間の入り口に立つ己の霧の守護者を発見して首を捻った。
骸はしーっと指を立てて潜めた声で返す。

「お静かにボンゴレ
猫たちが起きてしまうでしょう?」
「猫?」

獄寺の匣兵器のことか?
しかし骸は猫たちと言ったが…

疑問符を浮かべたまま骸のそばまで行って、その疑問は氷解する。
確かに猫たちだ、それも、とても美しい黒猫が“3匹”。

「こうしてると、全員無害なのに」
「おや、彼女も起きていたら有害ですか」
「いやぁ…俺たちには基本は無害だけども、敵には容赦ないじゃん3人ともさ」

そうですね、と骸は同意する。
見かけも、身内には甘い性質もやたらよく似た3匹はそういうところが愛おしい。

「さぁ、雲雀を起こさないうちに出て行きましょう」
「雲雀さんが起きたらルルーシュさんも起きて、そしたら真さんも起きちゃうもんな」

3匹だけの時は互いが互いに睡魔を供給してよく眠っているのだが。


どうせそう急を要する話でもないため、綱吉も骸の言葉に同意する。
すやすやと気持ちよさそうな寝息をたてる猫たちをもう一度見やってから、綱吉と骸は静かに襖を閉めた。






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ