短編

□ちょっと一息
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「少しお邪魔するぞ」


自分達の修行の合間の、休憩時間。
いつのまにか寛ぐならここ、と暗黙の了解ができているキッチンで家事が一段落したらしい京子ちゃんたちも交えて山本や獄寺君と談笑していたときのこと。
ひょっこりと現れたルルーシュを見ていて、なにげに京子ちゃん達と彼女がまともに顔を合わせるのは初めてなんじゃないかという事実に思い当たった。


「はひ!どなたでしょうか!」
「確か、お兄ちゃんと一緒にここに来た人だよね」


マイペースにお茶を用意しているルルーシュに首を傾げている女子たちの視線がこちらに向く。それに答えようとして、はたと固まった・・・なんて紹介すればいいんだろうか。


(マフィア系の話は絶対無理だろ?え、じゃあ風紀財団の人って説明するの?けどじゃあなんでクロームの看病してるのかとか説明つかないよな)


口を開いた形のまま硬直する俺に不思議そうな京子ちゃんの視線が刺さる。
隣で同じような格好をしている獄寺君にはハルの視線が。
妙な空気に気付いたのか、こちらを振り返ったルルーシュが首を傾げてひとり女子の追求の視線を向けられていなかった山本に尋ねる。


「・・・・もしかして、私が原因か?この微妙な空気は」
「ルルーシュさんをどう紹介しようか、って固まった感じっす!」

((山本――――!!))


わかってた!わかってたけど!山本がここで天然かますのはわかってたけどー!!

ちょっと本人に言うのはどうなんだという内容をさらっと笑顔で告げる相変わらずの山本に二人揃って顔をひきつらせるが、言われた本人は大して気にした様子もなく何度か頷く。
・・・前から思っていたけど、山本とルルーシュさんを組ませると周りが振り回されている気がする、というか主に俺と獄寺君。


「そうか、私が一方的に知っているだけだものな・・・うっかりしていた」


独り言のように呟いたルルーシュは残っていたお茶を飲み干すと、京子ちゃん達に向き直る。
ちなみに前に通路で発見した時とは違い、今日の彼女の装いはこの時代で初めてあった時の様な真っ黒コーディネイトである。そういえば初めてあった時からこっち、彼女が暗色系以外の服を身につけているのを見た事がない、黒が好きなんだろうか。


「はじめまして、私はルルーシュ。風紀財団の秘書として、雲雀の下で働いている。ここの医務室に親戚の子がお世話になっていてね、暫くこちらで過ごさせてもらっているんだ」
「あ、わ、私は笹川京子です!」
「三浦ハルと言います!はじめまして!!」


あっさり名乗ってボンゴレアジトにいる理由も説明したルルーシュに、なるほどと納得。
勿論異世界からきたルルーシュとクロームに血縁関係があるはずないことは分かっているけど、眼の色とか、ちょっと浮世離れした雰囲気だとか、思い返せば共通点は結構ある二人だから親戚だと言ってしまえば疑問には思わない。




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