短編

□骸誕生日お祝い
1ページ/4ページ

◆骸誕生日

「誕生日・・・?骸の?」

はて、と首を傾げたルルーシュの前でこくりとクロームは頷いた。
普段なら絶対によりつきもしないだろう千種や犬の姿も後ろにある。

場所は雲雀邸
幸いなことに家主は休日出勤している日曜日の朝のこと。



ヴァリアーとのリング争奪戦の折、クロームは雲雀邸の世話になっていた。
それは事が落ち着いたあともたびたび続いており、雲雀も半ば黙認している。
因みに千種と犬も時折連れてこられている。
「成長期の子どもがあんな衛生面に不安が込み上げる廃墟にいるなんぞ認めない!食事が三食麦チョコだと?ふざけるなーっ」
怒髪天突いて説教かましたルルーシュの迫力と、面白そうだからという理由で武力行使も辞さない構えで背後にいた雲雀の圧力に屈し、月に何回かは雲雀邸で食事と風呂を借りているのだ。


千種はともかく騒がしい犬の訪問を許したのは、怒り狂ったルルーシュに気押されておどおどした様子が面白かったからである。
名前の通り、犬の躾けと同じだろう。
逆らってはならない人間と無意識に刷り込まれてしまったのか、保護者モードに入ったルルーシュに対して犬は驚くほど大人しいのだ。


まぁそんな訳で珍しくはあるが、黒耀組が雲雀邸にいるのは変な話ではない。
が、今回は要件がちがうようで。


「あいつの誕生日、今日だったのか」

「そう・・・骸様、誕生日・・嫌っているんだけど」

「・・・・俺たちにとっては、大切な日だから」

「たんじょーびパーティーをしたいんだびょん」


こっそり準備したいから、今は骸との回線を遮断までしているというクローム達の意気込みに、快くルルーシュは頷いた。


あの黒耀ヘルシーランドでは、単純な料理はともかくパーティーに必須のケーキは焼けず、やるからには完璧を目指したい三人はケーキも手作りしたいのだろう。
別に家主のように骸に対して隔意(というよりは並々ならぬ執着だと思われるが)がある訳ではない。

ルルーシュは三人をキッチンへと案内した。
・・・その前に三人を風呂に連行したのはいうまでもないが。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ