短編

□わたしの”幸せ”
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◆(嚮団壊滅作戦の間)

ロロが落ち着いた後、結局嚮団に向かうのは星刻率いる中華連邦の軍ということになった。
まずもって嚮団の位置は中華連邦の中であるし、一応位置づけとしてはブリタニアの非人道的研究機関。
今はまだ日本独立の為でしかない黒の騎士団が出張るよりも、侵略されかけた中華連邦がブリタニアの影を払うために動く方が筋は通ってはいた。

ということで情報提供者としてのゼロ。その共犯者のCC。
嚮団の内部を把握しているジェレミアとロロ。

この4人が黒の騎士団側から参加することになった。
その間に咲世子とヴィレッタは機情を引き払って蓬莱島に向かう。


この時前々から言われていたことを思い出したルルーシュが
機情情報員のギアス命令を“観察対象に対し思うところを述べてみろ”としたところ、
揃いもそろって“反逆頑張れ”であったことに唖然とする一幕があった。

本来のルルーシュ(優しい・天然・姉馬鹿)を間近でずっと見ていれば、反逆の目的が私利私欲の歪んだものではないことなど簡単に知れるし、そうなってくれば応援したくなるのが人の性である。
反逆の結果自分たちの生活や命が危ういのならともかく、普段の友人たちとの触れ合いを見るにつけ、そういった心配はしないでよいようなのだし。

というより、ルルーシュを知っていながら“世界を自分の好き勝手にしようと〜”云々といった発想にはなるまいよ、基本身内が幸せなら自分も幸せな人種であるのだから。




ヴィレッタは扇ととうとう面と向かって相対せねばならなくなったため、やや憂鬱そうである。
扇を愛したのは千草であり、その千草はヴィレッタ。
それは間違いないのだが、ヴィレッタが千草であるかと聞かれればそれには首を傾げざるを得ない。

殺伐とした軍人としての生き方とは違う、ただ男を愛し待つ女としての生き方。
それを穏やかととるか、籠の鳥ととるかは本人次第。
そしてとうのヴィレッタはいつもここで言葉に詰まるのだ。

幸せになりたくて出世を望んだ。
地位があれば幸せになれると信じていた。
それは間違ってはいないのだろうけれど、平民として過ごすルルーシュの笑顔はヴィレッタが望む幸せを謳歌しているように見えた。

ゼロとして立ち、戦うルルーシュを支え守りたいという願いは。
ルルーシュの傍であの子を見守ることは。
どうしたことかヴィレッタとしては幸せといえるものだった。
地位がある訳でも、穏やかな日々がある訳でも、それこそ自分を愛する男が居る訳でもないのに、だ。
というよりも、もしも仮に地位や穏やかな日々や恋人が傍にいても、ルルーシュがいなければ自分は幸せではないような気さえする。

自分のことながら訳が分からなくて、いつもヴィレッタはそこで思考をやめていた。
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