Pray 番外編
□優しい世界へ
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白くて、暖かくて、優しい場所。
規則正しい音に抱かれて安息を得る場所。
このまま眠り続けていたいのに、目覚めを促す気配がある。
(今度こそこの世界は、お前にとっても優しい世界になるだろう)
本当だろうか。
今いるこの場所よりも優しい場所なんて、あるのだろうか。
(全てを置いていけばいい。
いつでもそれはお前のところに還るものだから)
傍らのぬくもりが先に進み、さぁおいでと呼ぶ声がする。
優しさはそのままに、止まった時が動き出すような慌ただしさが身体を押し出して、覚悟を決めてそれに身を任せた。
息苦しさと目を灼く光と肌寒さ。
咄嗟に声をあげた途端暖かなものに包まれる。
ずっと共にいた片割れを隣に感じて安心した時…
「はじめまして、私の可愛い子供たち」
降り注いだ声が、その世界で初めてもらった優しさだった。