短編

□ちょっと一息
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ちょっと懐かしい記憶を思い返していると、流石山本、言葉のキャッチボールであっても剛速球だった。


「笹川先輩に彼女がいるなら、俺たちにもいるんかなー」
「ぶっ」
「げほっ」


(何言ってんのこの人――――!!!いや、ほら、確かに未来だし!10年後だし!!何が起きてても不思議じゃないっていうか、それだけ時間が経ってたらちょっとは夢見たっていいよね・・・ってだから!)


とんでもない言葉に、きっと今の自分の顔は真っ赤だろう。
どうすることもできずに、しかも視線は正直にそろりと女子たちの方を向く。
いわゆる・・・コイバナ?で楽しそうな様子の京子ちゃんはいつもの2割増しで可愛くみえて、ついつい顔と思考が緩んでしまう。


(やっぱ京子ちゃん可愛いなぁ〜それにそういえばこの時代の京子ちゃん、俺のこと母さんみたいに“つっくん”って呼んでたし、ほら、もしかして・・・)


思考はどんどん横にそれる。都合が良すぎるって?いいじゃん、頭の中くらい夢があっても!!


誰にしてるとも分からない言い訳を思わずする。
横でぶんぶんと頭を振って、ついでに湯気が立ちそうに真っ赤になっている獄寺君は一体に何を考えていたんだろう・・・山本にからかわれて今は別の意味で真っ赤だけど。
いつも通りに大声をあげて喧嘩腰になる獄寺君に俺は慌てて、それまでの桃色な妄想を一旦横において仲裁というか、獄寺君をなだめるために二人の間に割って入ることにした。










女子はぺちゃくちゃと楽しそうにお喋りをし、男子は時に騒がしく取っ組み合い。
まるで学校の教室の中の出来事のように騒がしい一幕を見ていたリボーンは、いつのまにかキッチンからするりと脱け出したルルーシュを捕まえる。

「ルルーシュ、わざとか?」
「鬱々としてればいいってもんじゃないからな?」

たまには中学生らしく騒いでいればいいんじゃないかと思ったのさ、と笑うルルーシュは、この10年でかなり愉快犯気質に成長したようであった。
その原因の一端を確実に担っているだろう黒衣のヒットマンは、彼女と同じようににっと笑った。



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