合縁奇縁

□その4
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ダウジングは絶対の確実性を持つものではない。
しかし確かに何かに反応していた鈴が、結局今の居場所を指し示すというのはどうにも解せなかった。
誠志朗ほどではないものの、柊一だって霊的なものがいればわかるくらいには感知能力を備えている。
当然ながら屋上には、そんなものは存在していないのに。

しかも柊一は稲荷か、あるいはそれ以外のなにかかもしれないが、ともかく何者かが見たビジョンを鈴を通してみたのである。
確かに鈴は何者かを探知していた。


「妨害・・・?いや、そんな感覚はなかったし・・・」


首を捻りながらも、これ以上は無駄だと鈴と地図を片付ける。
時刻を確認すれば6時前になっており、校庭からは部活の朝練の掛け声が響いている。
きっとその中には幸村もいて、びしばしと仲間をしごいているに違いない。

休みがちの柊一でさえ、あのみかけ穏やかな部長がその実ハードな指導をすることを知っていた。魔王と呻くのは大体テニス部のレギュラー達で、そんな愚痴を言った次の日は大体更にぼろぼろになってたような気もするが。

(そろそろ、笹井先生も来ているよな)

唯一立海の中で柊一の事情を知る協力者に、昨日のうちに夜遅くではあったが連絡していたのである。
勿論要件は、件の御神鏡を一時的に借り受けることだ。

いわくありげとはいえ、心霊現象をまともに信じる教諭もいないからすんなり借り受けられそうだとは言っていた。
放課後まで待つほど優しくはないどこぞの陰陽師は昼休みに引き取りに来るとのたまったので、出来れば朝のうちに手に入れて、校外で受け渡したい柊一である。
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