甘い甘美な罠

□キスの我慢は辛い
1ページ/2ページ





付き合うことになってから、早一週間も経った。

あれから珍しく現場が一緒になることはなかった。

だから、今日のラジオ収録が久しぶりだ。

俺の心は、ワクワクしていた。
だって、好きな人に会えるんだから。



打ち合わせに珍しく早く来れた。
打ち合わせ部屋のドアを開けると、そこには先に神谷さんが来ていた。



「おはようございます…神谷さん」

「あぁ…小野君、おはよう……」


顔が赤い。緊張してるのか?


「あの…付き合ってから、初めて会いますね」

「…そういうこと…外で言うなっ!!」


浩史に殴られた。頬を。
少し痛みと切なさが胸と頬に伝わる。


「すいません。俺が悪かったです。配慮もしなかったんで。」

「……痛かったか?」

「はい。ついでに心も痛いです。」


今にも泣き出しそうな神谷さんの頬を撫でようとした時…!
ふと、あの約束が頭に過った。


“5回に1回、キスするの我慢したら…”という約束を思い出した。

俺、今…キスしようとしていた。
俺は我慢することにした。


「すいません…。俺、離れますね……」


そっと神谷さんから離れた。すると、悲しそうな顔をされた。


「そんな悲しそうな顔、しないでください。」

「……してない」



意地っ張りなところがまた可愛い。
でも、そう思ってもキスしたりはできない。約束があるから。


本当に付き合っているのか…不安になってきてしまった。






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ