リリカルなのは〜仮面の騎士と鋼の英雄〜
□Ep.6 エルトリアに俺、参上!
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外の光景を見たとき、アミタたちは言葉を失った。
草木が燃え、大木や建物は倒れ、量産型のギアーズはそれらを守ろうとして無残に壊されていた。「ギアーズ」とはアミタとキリエの父『グランツ・フローリアン』が死蝕が進むエルトリアの復興を目指すために生み出したアンドロイドであり、アミタとキリエの二人もギアーズである。
「こ、これは……!」
「うわーん!せっかく立て直したのにー!」
「ええい!どこの阿呆だ!このような真似をしたのは!!」
「知りてえか?なら教えてやるよ。それはな―――『俺たち』がやったんだよ!!」
激震したディアーチェが怒鳴ったあとに現れたのは、マントを羽織ったモグラのような怪人と、様々な動植物を模したと思われる怪人たちや、さらには覆面を被った黒いタイツ姿の戦闘員たちと思わしき集団が現れた。
「あ、あなた達は!?」
「俺たちはコスモデルザー軍団!時空を越えて地球とミッドチルダを我が物にするのが目的なのさ!」
ユーリの質問に答えるモグラの怪人『モールイマジン』は自らをそう名乗ると、さらに話を続ける。
「喜びな!この星は俺たちコスモデルザーの前線基地とすることになったからな!」
「何ですって!?」
モールイマジンのその一言に驚愕するキリエ。だが、自分たちが立て直してきたこの星を荒らしまくったあげく、我が物にしようとする彼らの行動に怒りが込みあがる。
「冗談じゃありません!散々壊しまわったあげく、この星を我が物にしようとするなんて、そんなの、私たちが許すと思っているのですか!」
「い〜やぁ?思ってなんかないぜ〜。どうせ欲しけりゃ私たちを倒してからにしろって言うんだろぉ〜?」
「お話が早くて安心しました。私たちは端からあなたちと話し合ってお引取り願う気もなかったので、物理的に消えてもらったほうが私たちはすっきりするので……」
「そういうわけだ。我らを怒らせたこと……あの世で後悔するがいいわ!」
ディアーチェ、シュテル、レヴィは各々のデバイス、アミタとキリエはヴァリアントザッパーを、ユーリはディアーチェの支援を受けながら、背部から巨大な赤紫がかかった漆黒の鉤爪の手を召喚した。
「ユーリ!あまり無理はするでないぞ!」
「はい!」
「それでは、荒れますよ〜! 止めてごらんなさい!」
「「「「「……なぁにそれ?/なにそれ?/なんですかそれは?/なんだそれは?/それはなんですか?」」」」」
「え、なんですかその冷めたような反応は!?」
アミタのなぞの掛け声に疑問に満ちた視線を送るキリエたち。
「いや、急にあんなの聞いたら誰だって戸惑うでしょ」
「ねーねー、それってアミタの新ネタ?」
「新ネタとは失礼な!人をお笑いタレントみたいに言わないでください!」
「披露するなら時と場合を考えてください……」
「まったくだ。だから貴様は阿呆で馬鹿で愚かで塵芥なのだ」
「ひどくないですか!?」
「ディアーチェ……今のは言い過ぎだと思います」
「うう〜……分かりました!今の掛け声が気に入らなければ別のにしますよ!」
「「「「「いやそもそも掛け声いらないから」」」」」
「これならきっと納得するはずです!なにせ私の自信作ですから!」
「「「「「話聞けよ」」」」」
「それではいきますよ〜! ホ〜ロホ〜ロホロビレバ」
「もういきましょう」
「うん」
「そうですね」
「いいかげん向こうも待ちくたびれておるだろう。いくぞユーリ」
「はい!がんばります!」
「ええーーー!?ちょ、ちょっとまってください!まだ言い切ってませんよ〜!?」
アミタを無視してキリエたちはコスモデルザーの怪人軍団へと向かっていった。