リリカルなのは〜仮面の騎士と鋼の英雄〜

□Ep.1 宇宙刑事と二人のライダー
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無人世界カルナージ

現在、この世界ではかつての元機動六課の魔導師や、St.ヒルデ魔法学院の生徒たちなどを中心にトレーニングツアーを行っていた。

そのトレーニングツアーも今日で最終日。訪れたメンバーは今日ミッドチルダへ帰るため、このツアーで様々な準備をしてくれたアルピーノ親子に挨拶をし、あとは帰るだけ。

のはずだった。

「……」

帰航するメンバーたちの前に現れた一人の青年が、サングラスをかけたまま、彼女たちの前に立ちはだかっていた。

青年からの第一印象は『怪しい』としか言いようがなかった。

ここは無人世界だ。ここにはアルピーノ親子と召喚獣しか住んでいない。それなのにこの青年が今ここにいることが不審でままならなかった。すると青年は沈黙を破り、彼女たちに言い放つ。

「聖王のクローン、高町ヴィヴィオと、覇王の末裔、アインハルト・ストラトス……並びに、元機動六課の魔導師とジェイル・スカリエッティの共犯者たちだな?」

「「「「!!」」」」

青年の突然の一言に危険を察知する。

「! てめぇ!いきなり現れてなんのつもりだ!」

「聞いているのはこっちだ。答えろ」

赤毛の少女『ノーヴェ・ナカジマ』が青年に怒鳴るが、青年は全く動じない。

「ちょっとあなた。私たちはあなたが来るなんて一言も聞いていないんだけど、渡航許可証は持ってるの?」

薄紫色の髪の毛の少女『ルーテシア・アルピーノ』は青年に言うが、青年は全く臆すことなく、答える。

「もう一度言う。俺の質問に答えろ」

「! あなた……!」

「待ってください」

青年に駆けようとする金髪の長髪の女性『フェイト・T・ハラオウン』を薄緑の髪に紫と青のオッドアイの少女『アインハルト・ストラトス』が止める。

「あの、先ほどの質問の件ですが……」

「……」

「……もし、そうだ。と、言ったら、どうするつもりです?」

アインハルトの言葉を聞いた青年は、静かに呟く。


「……蒸着」

その言葉と同時に、青年の体の全身が青白い光の粒子に覆われる。その光が弾けると、青年は銀色のコンバットスーツを纏った姿に変わっていた。

その姿に、一同は驚きを隠せなかった。

(な、なに……あの姿は?)

(バリアジャケットでもなければ、騎士甲冑でもない……あれは一体……?)

「……」

紫髪の少女『リオ・ウェズリー』と茶髪のサイドテールの女性『高町なのは』が驚くのをよそに、銀色の戦士は右手に剣を出現させ、刃先をメンバーに向けたまま、走り出す。

「はあぁぁぁぁっ!!」

「えっ!?」

「!?」

銀色の戦士が真っ先に狙ったのはヴィヴィオとアインハルトだ。剣を勢いよく振り下ろすが、二人はバックステップで避ける。

「ちょっと!いきなり襲い掛かるなんて、なんのつもり!?」

「それに、どうしてヴィヴィオとアインハルトを……!!」

「答える義理はない。あえて言うなら、宇宙の平和のためだ!」

青いショートカットでノーヴェにそっくりな女性『スバル・ナカジマ』とフェイトの疑問に簡潔に答えると、その後も剣を振り、ヴィヴィオとアインハルトに襲い掛かる銀色の戦士。もはやこの戦士に話を聞く余地はないと判断し、全員がバリアジャケットや騎士甲冑を展開する。

「……!!」

だが、圧倒的な数の差を前にしても、銀色の戦士は臆することなく、剣を構え直す。

(まさか……この数を相手にやる気……?)

オレンジの長髪の女性『ティアナ・ランスター』のその考えは当たっていた。とはいえ、その目線はヴィヴィオとアインハルトの二人を捉えている。あくまでも目的は二人だけのようだ。

「! はあぁぁっ!」

「させない! でやあぁぁぁ!!」

銀色の戦士の上から赤毛の少年『エリオ・モンディアル』が槍型デバイス『ストラーダ』を構えて斬りかかるが、

「ふん!」

「うあ!?」

銀色の戦士はエリオの背を蹴飛ばして、それをいなす。

「! バルディッシュ!」

≪Sir≫

「はあぁぁぁっ!」

―――ガキイイン!

「なっ……!」

今度はフェイトが相棒のデバイス『バルディッシュアサルト』で斬りかかるが、銀色の戦士は持っていた剣で受け止める。

「でも、これで隙はできた……ティアナ!」

「はい!」

「レーザー!Zビーム!!」

「きゃあっ!」

フェイトに代わってティアナが二挺拳銃型デバイス『クロスミラージュ』で攻撃しようとするも、銀色の戦士の指先から放たれたレーザーで返り討ちにあう。

「ティア! このおぉぉぉ!!」

「! はあっ!!」

「うわっ!?」

スバルの攻撃をかわし、背後を剣で斬りつける。

「皆!散開して囲むように円を描いて!」

「「「「はい!/了解!」」」」

なのはの指示通り、素早く動いて銀色の戦士を囲むことに成功した。

(さあ……どう来る……!?)

相手の次の手を考えるなのは。囲まれた銀色の戦士は周囲を見渡し、首を動かして、視線は一人一人を捉えている。

「……」

―――スッ

(え……!?)

なのはの考えは大きく外れた。彼は、剣を下ろしたのだ。その光景に呆気にとられた一同はポカンとし、極力止めないように動かしていた足を止めてしまった。

「……!! はあっ!」

―――ドオオーーン!!

((((えっ……!?))))

一同はさらに不可解な行動を目にする。銀色の戦士が先ほどティアナに放ったレーザーを誰にもいないところに撃ったのだ。
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