リリカルなのは〜仮面の騎士と鋼の英雄〜

□Ep.4 動き出す影
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ミッドチルダ東端部 レゾナ東中央拘置所

宇宙刑事と名乗る謎の戦士の突然の乱入により、大きく出ばなをくじかれた特務六課とフッケバイン一家。

赤色と青色の宇宙刑事は、装備している長剣の刃先をハーディスに向けている。

「……はあ、時空管理局といい、銀河連邦警察といい、どうしてこうも私を悪人扱いするものたちばかりが周りに集うんだかねぇ……」

「貴様……どうやら自分が何をしでかしているのか、全く自覚していないようだな」

赤色の宇宙刑事は低い声で言うが、ハーディスは表情を崩さない。

「そりゃあそうさ。何度も言うようだけど、私はただ計画に加担し、手をかして協力している善良な一般市民だからね」

「? ……今回のエクリプス事件の黒幕はお前だろ」

ハーディスの言葉に不審を感じる青い宇宙刑事はハーディスに言う。

「エクリプス事件は、ね。だけど言っただろう?私はただ計画に加担し、手をかして協力しているだけだと……」

「! ちょっと!それどういう……」

カレンがハーディスに尋ねたそのときだった。


カチッ…… カチッ…… カチッ…… カチッ…… カチッ……


(? なに……?この音は……)

聞こえてきた謎の音に耳を立てるフェイト。その音はだんだん大きくなり、こちらに近づいているようだった。

「!! カレン!ヴェイ!なにか来るわ!」

「ああ……」

「そうみたいね……」

ソニカや、ヴェイロンとカレンも音に感づく。

「ふう……やっと来てくれたようだね。全く、来るのが遅すぎるよ」

「なに?」

「おい、それはどういうことだ!」

「どういうこともなにも、お前たちがそれを知る必要はない。宇宙刑事シャリバン、宇宙刑事シャイダー」

「「!!?」」

突然聞こえてきた声に振り向く赤色の宇宙刑事『シャリバン』と、青色の宇宙刑事『シャイダー』

「……」

そこに現れたのは、銀色のボディに、緑の鉱石が埋め込まれた黒いベルト。顔は銀色の仮面で隠し、その緑色の複眼は、まさしく六年前にミッドチルダを救った彼らに似ていた。

「あ、あれは……仮面ライダー!?」

『スバル・ナカジマ』のその言葉は、六課もフッケバインも同じことを思っていた。

「俺は仮面ライダーなどではない。俺は次期創生王、『シャドームーン』!!」

銀色の仮面の戦士は、『シャドームーン』と名乗った。

「ようやく来てくれましたか。あなたたちが来るのが遅かったおかげで私はこのあり様ですよ」

「お前が簡単に捕まってドジを踏んだからだ。このような者たちごとき、貴様なら捻ることなど容易いことだろう」

「私は無駄に戦うことは好きじゃないんですよ。それに、私はあなたたちに協力しているスポンサーなんだから、もう少し丁重にして欲しいものだね」

「ふん。スポンサーごときが。 とはいえ、お前の借り手なしでは我々の計画が進まないのは事実……それに、計画は次の段階に移行する。そのためにもお前を引き取りにきたのだからな」

「貴様ら、さっきから一体なにを言っている!」

シャリバンが怒鳴るようにシャドームーンに聞く。

「言ったはずだ。お前たちが知る必要はないとな」

「まあまあ。少しくらいは教えてあげてもいいんじゃないのかい?」

「ふん……いいだろう。よく聞け特務六課。お前たちが追っているエクリプス事件など、所詮は我ら『コスモデルザー軍団』の計画の一部にしかすぎんのだ」

「なにっ……!?」

「エクリプス事件が、計画の一部……!?」

驚くシャリバンとシャイダー。だが特務六課はもうひとつ嫌な単語を聞いていた。それは……。

「コスモ……デルザー軍団って……。! まさか!?」

「デルザー軍団って、あのデルザー軍団!?」

「そうか。お前たちは確かデルザー軍団と合間見えたのだったな。あのときは7人の仮面ライダーがいたからどうにかなったものの、今の改造魔人たちは六年前とは比べ物にならんぞ。 もっとも、六年前の奴らにすら勝てなかった貴様らがどうにかできるはずがないがな」

「「「「「っ!!」」」」」

特務六課のメンバーは痛いところをつかれる。確かにあのときは、デルザー軍団の改造魔人たちによって完膚なきまでに叩きのめされ、その後自分たちは処刑されそうになった。あのときは7人ライダーが助けにきて、デルザー軍団の改造魔人たちは倒されたが、数では明らかにこちらが上だったのにも関わらず、成すすべもなく倒され、結果としては足を引っ張ってしまった。もっとも彼らのことだからそんなことは思っていないかもしれないが、それでも自分たちにとっては己の弱さと無力さを痛感されたのだ。あのときの屈辱は、今でも忘れることはない・・・・。

「……話は終わりだ。ハーディス・ヴァンデインは我々が連れて行く。貴様らはここで死ぬがよい!ゆけ、我が尖兵たちよ!!」

「「「「「ギイエエェェーーーー!!!」」」」」

シャドームーンは、自らが受け持つ傘下の怪人たちと、兵士チャップを召喚した。

<スウちゃん聞こえる!?俺たちのほうに、何だかよく分からない化け物たちが現れたんだけど、そっちは!?>

「トーマ!?もしかしてそっちにも怪人たちが……!?」

「おや、どうやら外にはゼロ因子適合者≪ドライバー≫の子がいるみたいだね。これはちょうどいい」

「! 特務のお嬢ちゃんがた、そいつはトーマを狙ってるわよ!」

「えっ……!?」

「トーマを!?」

「チッ、あのチビカス……自分で居場所を教えてどうすんだ……!」

「シャドームーン。これからの計画のためにゼロ因子適合者≪ドライバー≫の子は必要不可欠だ。何とかして捕まえられないかい?」

「よかろう。シュバリアン!」

<はっ!シャドームーン様!>

「ゼロ因子適合者≪ドライバー≫……トーマ・アヴェニールは生かして捕らえろ。あとの者たちは殺してかまわん!」

<ははっ。承知!>

シャドームーンは屋外にいる怪魔ロボット『シュバリアン』にトーマを捕まえるよう指示する。
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