KAMENRIDER × STRIKEWITCHES

□第7話 勇気の魔女・夢を守る紅い閃光
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 アフリカ

戦いを終え、アフリカはすっかり陽が落ちて夜になっていた。

前にも述べたようにアフリカは昼間は猛暑だが夜になると気温が一気に下がり、冬並の寒さになる。

だからなのだろうか。仮面ライダーカブト=天道総司は取り調べを受けている身であるにも関わらず、キャンプの厨房を乗っ取って、真美に預けていた豆腐を使って料理をしていた。その光景を眺める圭子やマルセイユ達、果てには三将軍さえも天道という男のある意味胆の据わった行動に呆気にとられていた。

「ほら、できたぞ。材料が揃っていなかったから湯豆腐しか作れなかったが、素材の味を楽しむのも良いだろう」

「ど、どうも……」

圭子は湯豆腐が入った丼を受け取る。まさかこんなところで湯豆腐が食べられるなんて思ってもいなかった。

「…って、違――――う!!」

机をドン、と叩いて立ち上がり、天道に詰め寄るマルセイユ。彼女の心境は大方分かっていた。

「お前は何我が物顔で料理してるんだよ!お前は今取り調べを受けてる身なんだぞ!?どういう状況か分からないのか!?」

「うるさい奴だな。食事中くらい静かにしたらどうだ?」

「そういう問題じゃねぇ――んだよッ!!」

マルセイユの激震ぶりにも怯まずに言葉を返す天道に、彼女自身嘗められてるような気がしてより苛立ってくる。

「まあまあ、落ち着いてくださいティナ。一応、私達の危機を救ってくれた恩人なんですし……」

「ふん!こいつが来なくたって、あれぐらい私一人で……」

「どうだろうな。俺の記憶が正しければ結構苦戦していたように見えたがな」

「なんだとっ!!」

「鷲の使い、この男…天道の言う通りだ。あのネウロイは今までのものとは格が違う。太陽の神が現れなければ我々は皆死んでいた」

マティルダの言う、『太陽の神』とはカブトのことを示している。マルセイユは何も言い返せなくなったのか、ゆっくりと自分の席に戻った。

「さて、天道総司…と言ったか?君にはいくつか聞きたいことがある。話してはくれないだろうか?」

「…いいだろう。俺もあんた達に聞きたいことがあるしな」

天道は三将軍やウィッチ達と情報交換をした。天道の話に驚くばかりだった三将軍とウィッチ達に対して、天道は話を聞いても終始冷静だった。話の結果、天道は異世界に飛ばされた異邦人(エトランゼ)であることが分かった。そして彼もまた、最近各地で現れ始めている戦士『仮面ライダー』であることに。

「天道。それでここからが本題なのだけれど、あなた、ここから先あてはあるの?」

「あるわけがないだろう。俺の知らない世界に、俺の知らないアフリカ。行くところなんてどこにもない」

「なら、ここで私達と一緒に戦わない?あなたの力があれば、きっとネウロイとも対等に戦えると思うの」

「……いいだろう。戻れるまで厄介になるが、よろしく頼む」

圭子の提案を快く受けた天道は、晴れてストームウィッチーズの仲間入りを果たした。そのことに納得がいかない者が一人、マルセイユだ。

「ふん!仮面ライダーが仲間入りしようが、この私が最強であることに変わりはない!」

「どうだろうな。お前より強いウィッチなんていくらでもいると思うがな」

「なんだと!!」

「おばあちゃんが言っていた。『世界の広さは無限大』、とな。お前はまだ自分の世界が狭すぎる。もっと視野を広げて、お前自身の世界を今よりも大きくしてみたらどうだ?」

「う、うるさい!お前の指図なんて受けるか!私はもう寝る!」

マルセイユは自身のテントに戻って行った。

「ごめんなさい。気を悪くしたかしら?」

「いや、あの手のタイプは元の世界にもいた。…あいつはこれから先、より強くはなるだろう。そのためには……」

「『自分の世界を広げる』、ですよね?」

「その通りだ」

「…良いおばあさまを持ったのですね」

「ああ。俺の自慢のおばあちゃんだ」

微笑ましい会話をしばらくした後、天道はロマーニャ人のコックのテントに入らせてもらい、その日の一日は終わった……。
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