刻む針の果て

□望まぬ出会い
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***


教室について早々、クラスメイトの花村陽介が机に突っ伏していた。


「なーに朝から死んでんの?」


「や…ちょっと、放っといたげて…」


茶髪のショートヘアに緑のジャージを着た女子生徒、里中千枝の明るい声にも花村の声は低い。何て言ったら良いものか。


「あ、奏おはよー」


「おはよう、奏君」


とりあえず教室の中まで入ると、里中と、大和撫子という言葉が似合う天城雪子が振り向いた。


「おはよ」



「花村?」


「おぉ、奏。はよ。雨どうよ?」


「どうって聞かれても……お前は大丈夫か? チャリでスリップして転んだだろ」


「げ!? 何お前、見てたわけ!?」


「いや? お前のチャリだけぐちゃぐちゃだったからさ」


花村が、一瞬絶望的な顔をして、今度こそ無言で机に突っ伏した。
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