らんま1/2
□あかねの水泳特訓日誌
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あかねの水泳特訓日誌
6月上旬。
今年もまた、プール開きの日が近づこうとしている。
ここ、風林館高校でも、プール開きを明日に控え、皆が浮き足立っている様子が窺える。
しかし、ここに1人、浮き足だった皆とは違い、どんよりと負のオーラが包む少女がいた。
少女の名は、天道あかね。
クラスで唯一、泳げない少女だった。
「…どうしたの、あかね? なんか、暗いよ?」
「…潤弥くん」
あかねが暗い原因を1人知らない潤弥は、悪びれることもなくあかねに暗い理由を問う。
そんな潤弥を見て、学友たちが各々フォローを入れる。
「あかねはね、好きで暗くなってるわけじゃないのよ、潤弥くん」
「そうよ、潤弥くん。あかねはね、ちょっと人よりも泳げないだけなの」
「そうよ、ちょっと水に浮かべないだけだから!」
「そうそう。ちょっと水をガボガボ飲んじゃうだけだから!」
「うんうん。ちょっと白鳥の真似を上下逆さまでやっちゃうだけだから!」
「おちょくってるの!?」
あかねが、ガタンッと机を叩いて立ち上がる。
その顔は、まさに般若と呼ぶに相応しい程に怖い。
「あかね、泳げないの?」
屈託のない顔で、潤弥があかねを覗き込んだ。
「な、何よ。文句ある!?」
「別に、泳げなくてもいいと思うけど」
ニコニコと笑いながらあかねを見ている潤弥は、何やら楽しそうだ。