らんま1/2

□聖夜の夜は… 【Side:Ranma】
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俺とあかねが恋人関係になってから初めてのクリスマス。

天道家に居候するようになってから家族でクリスマスパーティをしてるが、今年はやっぱ…アレだ…。

あかねと2人で過ごしたいとか、思っちまうのはしょうがねぇだろ?

とはいえ、難しいよな。

今年も大勢呼んでパーティするって、かすみさん張り切ってたし。

他にも色々と邪魔が入りそうだし。

それ以前にどう誘えって言うんでぇ!

恋人になったんだから2人で過ごしましょう。

なんて、柄じゃねぇし!


でもまぁ、プレゼントくらいは用意してやるか。

つっても、財布の中身は侘しいもんだ。

あんまり行きたくはねぇが…しゃーねぇか。


階段を2階へと上がり、「NABIKI」と看板が掛かったドアをノックする。

中から「はーい」と声が聞こえたので、遠慮なくドアを開け放った。



「なびきー。ちょっと相談…」

「あ〜ら、乱馬くん。良いところに来たわね」

「良いところ?」



なびきの部屋には先約がいた。

どっかで見たような顔なんだが、思い出せねぇ。



「なびき。この人?」

「そうよ。乱馬くん。あなたも知ってるでしょ?」

「もちろん。我が校の有名人ですもの」

「…えっと。誰?」

「ちょっと乱馬くん。生徒会長の顔くらい覚えておきなさいよ」

「…あぁ!」



どうりでどっかで見たことあるような気がしてたんでぃ。

だけど、なんか話が俺の知らないところで変な方向へ向かっている気がする。

気のせいであってくれと願う方が馬鹿みたいなくらいに、嫌な予感ってのがヒシヒシと伝わって来る。

特に、この生徒会長のキラキラした視線が…。



「乱馬くん。サンタさんやらない?」

「………はぁ?サンタさん?」

「そぅ。クリスマスですもの。決まってるじゃない」

「…決まってんのか?」

「決まってるわよ!!クリスマスといえばサンタさんよ!!」

「は…はぁ?」



あまりの迫力に、思わず数歩後ずさる。

怖ぇわけじゃねぇからな。

関わるとろくなことにならねぇ、そういう人種な予感がするんでぃ。



「とりあえず、明日からクリスマス当日までは女の子の格好で女サンタになって店頭に立ってね」

「店頭?」

「そぅ。隣町のケーキ屋。激ミニの女サンタ!やってもらうから」

「嫌だ!」

「激ミニ女サンタ!ケーキ売上倍増間違いなしよね!」

「人の話聞けよ!」



冗談じゃねぇ。

誰が女の格好してんなことしなきゃならねぇんでぃ。

しかも、激ミニとか…ねぇだろ。



「明日からクリスマスまで1週間!給料は3万でどうかしら?」

「3万…。」



3万あればあかねに余裕でプレゼント買ってやれるよな。

そっか、3万か…。



「しゃーねぇな。やってやるか」

「そうこなくっちゃね、乱馬くん。ちなみに、3万の内2割仲介料として貰っておくから、頑張ってね」

「っておい!なびき!」

「乱馬くん。あかねへのクリスマスプレゼント代、あるの?1週間で3万にもなるバイトないわよ。仲介料に2割なんて少ないくらいじゃない。
それとも、私からお金借りる?利子、高くつくわよ。私としてはどっちでも構わないけど」



なびきに金借りてまたあっちこっちレンタルされるか、ここで承諾して1週間激ミニサンタするか…。

俺の選択は……………。




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