らんま1/2
□君に触れたがる手
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あかねに触れてぇと思うようになったのはいつ頃だったか?
ん〜。
昔の事を思い返してみるが、ハッキリしねぇ。
今まではそれでも理性で抑え込んできたし、実際ちゃんと抑えられてきたんだ。
今更理性が効かなくなるなんてことが…あったりすんだなこれが…。
俺とあかねの関係は許婚。
でもそれは俺とあかねの意思じゃねぇ。
親同士が勝手に決めた関係だ。
いつ解消されたっておかしくねぇ危うい関係で成り立っていた。
事実、過去に許婚解消されてなびきの許婚にされたこともあったしな。
なびきの許婚なんで二度と御免だぜ。
なんだかんだで元の鞘に収まったが…。
俺はあかねと結婚するもんだと思っちまってたからな。
俺の隣にはずっとあかねがいたし、これからもずっとあかねは俺の隣にいると思ってたし。
その後だって色々ありすぎるほどあった。
いつ解消されてもおかしくねぇこといっぺーあって…。
あかねは俺のもんだって、何度叫びそうになったと思ってやがんでぃ!?
あー!!
思い出したら腹たってきやがった!!
けどなぁ、それでも俺は触れてぇと思う気持ちを抑えてたんだぜ。
危うい関係でも、俺の隣で笑うあかねの笑顔を見てたくて、それに満足してた部分もあるしな。
それでも俺は一歩を踏み出した。
俺の気持ちは呪泉洞で聞かれちまったし、どんなに否定したところで心が変わるわけでもねぇし。
その後も俺の隣で笑うあかねに勢いで告白して、抱きしめて、キ…キキキキキ…キス、してだなぁ…。
俺達はやっと、自分の意思で許婚になった。
そうなってくると、今まで理性で抑え込んできたもんが溢れてきちまうのは、まぁ仕方がないことだと思うわけだ。
抱きしめてぇし、キスしてぇし、それ以上のことだってだなぁ…したいだろ男なら!!
でも、正直ここ最近は目さえ合わせてねぇ。
お互い恥ずかしいってのもあると思う。
っつーか恥ずかしいだろ!?
どーしていいかなんてわっかんねぇし!?
とりあえず、手…手を繋ぐことから、だなぁ。
始めようかとだなぁ…。
さっきからずーっと、あかねの手に視線がいっちまってるわけでだなぁ。
別に俺が変態なわけでは決してなくてだなぁ。
「…乱馬?」
「…へっ?」
「もー。さっきから何なのよ?後ろからすっごく視線感じるのよね」
「べ、別に何でもねぇよ」
気持ちを見透かされたような気がして、慌ててあかねの前に立つ。
ったく、俺がどんな気持ちでだなぁ…。
「ら〜んま」
「なんでぃ?」
「手、繋いで帰らない?」
「…へっ?」
一瞬戸惑いつつも、差し出されたあかねの手に誘われるように、俺はあかねの手をとる。
やっぱ、見透かされてたのか?
隣を歩くあかねの手が、恋人のように絡んできて、俺の心臓がドクンと跳ねた。
「たまにはこうして帰るのもいいね」
「お…おぅ…」
自分の顔が真っ赤になってそうな気がして、俺は片手で口元を覆い隠しながら歩いた。
END
眠り姫は襲っていいんだへ
お題[君に触れたがる手]
お題提供元:確かに恋だった